新社会人のみなさまへ(番外編)

苦しくても自ら灯火となって

先日、車いすテニスの国枝慎吾氏が引退しました。

年齢的にピークは超えたかもしれませんが、まだ圧倒的な強さを持っていただけに、安穏と現在の地位に拘ることなく、実にスッキリした引退だと感心しました。そして国民栄誉賞受賞。大きなハンディを乗り超え、世界で圧倒的な実績をあげてきたことからすると当然だと思います。

国枝氏は9歳で脊髄腫瘍による下半身麻痺になりました。人は弱いもの。つい他人と比べて、自分が勝っているとか、負けているとか考えてしまいます。国枝氏も子供心にそうした思いもありつらく悩んだことでしょう。しかし彼はそこで「自分には手がある」ということで車いすテニスを極め、世界的なプレーヤーになったそうです。

天性の運動能力もあったのだと思いますが、大切なことは、国枝氏がハンディをもつ自分に克ち、自分の持っているものを最大限に活かし、如何に生きるか、を証明して見せてくれたことだと思います。

人は誰しも得意、不得意があります。向き不向きもあります。新社会人として「自灯明」(じとうみょう)。苦しくても自ら灯火となり、自らを信じて歩んでください。

(楠雄治 楽天証券株式会社 代表取締役社長 文学部1986年卒)

新たなパラダイムを苦しみながら生み出していく

新社会人のみなさまへ

やっかいな時代に社会人になったものだと思っていいかもしれない。

なんせこれから20年の間に、モダニズム由来の一つの価値観が崩壊すると考えるからである。それは全くAIのおかげなんだが、、、

先日テレビに経済学者の成田悠輔さんが登壇していて、若い女性の悩みを聞いてあげるコーナーが放送されていた。

「これから海外留学をして、しっかり語学を習得して国際舞台で活躍できる人になりたいです!」と優等生的な発言を彼女はしたと思うが、成田さんは「AIが発達し自動翻訳がここまで進んだ今、語学のために留学するというのはもったいない、そんな時間があるなら他に時間を費やしたほうがいい」というようなことを言っていたと思う。

AIが人間の能力に迫るということは、これはほんの一例だが、つまり優等生的な、人類が正しいと思って築き上げてきた価値観が通用しなくなるということだ。この現象がさらに加速したとき、人類がかつて複製技術時代の到来(人類にとっては危機)に直面した時と同じぐらいのカタストロフィをもって、人類は新たな枠組み(パラダイム)を苦しみながら生み出していかなければならないのだろう。

その苦しい時代がこの先の20年だ。半面、面白い時代でもあるのだが。

(永田周太郎 株式会社緑山スタジオ・シティ 代表取締役社長 工学研究科博士課程後期2009年修了)

直筆で書くメッセージとその時間を大切に

学生時代、けん玉を広めたいと、ヒッチハイクで日本を一周しました。駅前パフォーマンスや、通りかかった保育園や学校などへの飛込みけん玉教室を開いた旅でした。

旅の前半、熊本で乗せてもらったちょっと怖そうな運転手の方に怒られました。

「乗せてくれた人に住所は聞いてるんだろうな?」

「いいえ、何も聞いてないです・・・」

「なんだと(怒)。お前は人をなんだと思ってるんだ。これから先は全員に聞いて、帰ったら手紙をだして、報告とお礼をしなさい」

Kボクシング連盟の会長か何かをしているオジサンで迫力満点だったのですが、そうか!そんな報告もできるといいなと、実行しました。50日間の旅を終え、ヒッチハイクで乗せてくれた人、家に泊めてくれた人等、100人以上の方に手紙を送りました。

あれから20年。今は一般社団法人の代表理事として、けん玉ワールドカップやけん玉検定等の運営をしていますが、今も年に1回、大量の手紙を書く時期があります。

多くの人が法人のサポーターや、賛助会員として応援して下さっているのですが、年間報告書を送る際に、その方の事を思いながらメッセージを書くペンを走らせます。

世の中、人と人が支え合って・・・等と偉そうなことをいうつもりはありませんが、直筆で書くメッセージとその時間には、とても大切な意味があるように思っています。

たまには、家族、友人、お世話になった人に近況報告の手紙を書いてみてはいかがでしょうか。

ちなみに、手紙を書けと言ってくれたオジサンだけは住所も名前も教えてくれず、未だに御礼を言えていないのが心残りなのですが、いつかどこかで巡り会えたらいいなと思っています。

(窪田保 一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク 代表理事 生物生産学部2004年卒)

思いついたことを行動するかしないか、それだけ

新社会人のみなさま、新生活のスタートおめでとうございます。料理研究家の若菜まりえと申します。私は2004年3月に生物生産学部を卒業し、思いもよらないことがきっかけで料理研究家となりました。これから自身の挑戦と挫折と転生の話をします。

最初に入社した会社は古典的な日系企業でした。広大在籍時は海外と関わる仕事に憧れTOEICスコアを磨いていましたが、その会社では海外出張できるのは全て男性。海外に出られるチャンスは得られないと判断し、転職活動を始めました。紆余曲折を経て入社した外資系企業で海外取引の多いポジションを得て、充実した社会人生活を送ることができました。一言で表すと、パリ出張でパリピになっていました。

ところが、第一子の出産を経て職場復帰してみると、明確に出世コースから外れていることに気がついたのです。努力しているのに反映されない評価、上がる見込みの無い賃金、後輩に追い抜かれるポジション。

「このままでいいのか」と思っていたときに、会社が副業OKで料理ブロガーという働き方があることに気がついたのです。3年間は弱音を吐かずに全力で努力すると決意し、料理ブログ「つくりおき食堂」を始めました。ありがたいことに活動は成功し、現在は会社を辞め料理研究家として生計を立てています。

新社会人のみなさま、柔軟な発想で新たなことにチャレンジし続けてください。社会に出てしばらくすると「このままでいいのか」は大概の人に訪れます。悩み立ち止まった時に、思いついたことを行動するかしないか、それだけです。やってみてダメなら、次の最適解を探すだけです。応援しています。2023年3月 つくりおき食堂 若菜まりえ

(若菜まりえ つくりおき食堂 生物生産学部2004年卒)

スマイルはプライスレス

ワタシの知り合いに、高校卒業時に友達を1,000人集めてパーティー開いたってレジェンドがいます。どうやって友達づくりをやったかというと、「他人の長所を認めて、笑顔で接しただけ」だと教えてくれました。

仕事とはひとりで完結するってことはありえず、組織人として、あるいは仲間や協力者との共同作業になります。新社会人は、人間関係も1からのスタートです。まずは、なにをさておいても組織内外の人たちと信頼関係を構築しなければなりません。信頼ができない新人には、重要な仕事は任せられませんし、仕事を教えるのもいやになります。信頼関係をなおざりにしてしまったら、損をするのはあなたです。

信頼関係の第一ステップは、友達づくりとまったく同じです。まず、相手に安心してもらうこと、心を開いてもらうことで、笑顔は何よりのメッセージになります。

人間の取り柄や欠点はさまざまです。だれにも(あなたにも)長所があり、短所があります。だれでも長所を認められるとうれしいものですし、あなたも笑顔になれます。相手の短所を気にすると、笑顔もでてこなくなります。何の得にもなりませんね。

スマイルはゼロ円なんてことはなく、プライスレスだと心がけてください。

(千野信浩 株式会社ダイヤモンド社 総合科学部1985年卒)

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