第一志望に夢破れたあなたに

もらっちゃいましたか、お祈りメール。

夢破れた気分でしょうけど、引きずってはいけません。恋にたとえれば、あなたが勝手に「この会社が好き」って超一方的な片思いをしただけで、相手の気持ちなんて確かめたわけじゃないでしょ。要するに、第一志望の会社ってのは、広末涼子や福山雅治と同じなんです。菅田將暉や黒島結菜とでもいいましょうか、一方的にラブレター送ったって、交際が始まるわけじゃありません。ごくたまに、賢かったり人的な繋がりがあったり運が良かったりしたら出会える場合がある、そんなものです。

さぁ、あなたの片思いは終了です。これからはお互いに認め合えるパートナーを探さねばなりません。

もし第一志望があきらめられないのであれば、あなた自身が次の機会に有名俳優、ミュージシャンに認められるように自分を磨かねば、次の機会も負けは明白です。あきらめることなくチャンスを狙うのか、選ぶのはあなたです。

といいつつ、ワタシが強くお薦めしておきたいことは、あなたの夢や志望にこだわることなく、とにかくどっかの会社に入っちゃいなさい、来年春には社会人としてスタートを切ることができることを最優先にしなさいってことです。

「それって腰掛け気分でもいいってことですか」。そうおっしゃるかも知れませんが、じつはその通りです。

社会人となってから学ぶことは山ほどあります。そしてそれは業種、会社の違いなんて大してないってことです。ビジネスとは何か。働くということの喜びとは。会社の組織や人間関係の成り立ち。ビジネスのルールとマナー。新入社員のときから会社に貢献するなんてことも期待されていませんし、あなたにその能力もあろうはずがありません。最初の数年間は雇う側も修行の時間と割り切っています。

ギリシャの哲学者ソクラテスはこう言っています。「自分に知識がないことに気づいた者は、それに気づかない者よりも賢い」。無知の知として知られるこの格言は、そのまま仕事、社会人生活にも当てはまります。大学生のあなたは仕事、会社、社会について知らないことがあまりにも多いのです。まずは知らないことを知ることから始めなければなりません。それは、いまあなたが大学生である限り、非難されることでも何でもありません。大学で学べることとはまるで違うことなのです。

フランスの哲学者・科学者のパスカルはこう言っています。「人は精神が豊かになるにつれて自分の周りに独創的な人間がより多くいることに気がつく」

まずは社会人としてスタートを切ることに大きな意義があるというのは、この点です。

無知の知を学び、然る後に、それを土台に自分の道を模索する。そのまま先に進んでもいいし、機会があったらキャリアチェンジを図ればいい。それが夢破れたあなたがとるべき戦略です。こうしたプロセスをよりよいものにするには、ビジネスや組織の規模、変化のスピード、先進性を基準に、スタートの場を選ぶのがいいかと思います。くどいようですが、業種や会社を特定するよりも、学べる機会、人との出会いの可能性、受ける刺激のあるなしが重要です。

ここ数年、企業の採用意欲は高く、就活生にとっては恵まれた状況だといえます。過度なこだわりを持たなければ、第一志望に破れたあなたでも優良企業への就職はさほど難しくありません。

中途採用、転職が当たり前な時代になっています。数年間、縁のあったところでがんばってみることで、あなたの能力、人柄、仕事への考え方は大きく変わっているくはずです。偶然出会った職場は天職なのかも知れませんし、初志を貫徹する選択をしたとしても、大きくバージョンアップしたあなたなら、夢を実現できるようになっているかも知れないのです。

(出版社勤務 編集者 総合科学部1985年卒)

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