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(2018.1制定)
先日、とある大手SI会社の人事担当者と話をする機会がありました。
いまどきの就活では学生時代のエピソードから自分を語る、ってのが面接での定番になっていますが、企業側からすれば、エピソード自体はどうでもよくって、それを通じて人物像を見抜かねばなりません。彼はどうしているかって聞いてみました。
すると「そのエピソードに絡む人の悪口を言わせればいいんです」と奥の手を明かしました。
人に対する怒り、憤りはだれもが持つものです。大学も会社も社会もまったく同じです。さまざまな仕事上のトラブルの裏側にある根本的な要因であるにも関わらず、表に出てくることはまれです。それをストレートに出してしまうと組織人失格、チームの和を乱すわがまま野郎にされてしまうので、酒場の愚痴としてはき出すしかなくなってストレスはマックスになってしまうのです。
でも、自分に当てはめてみたら分かります。悪口の言い方、不満のポイントには、人との接し方、組織に対する考え方が隠しようもなく出てしまうものです。そして、それは入社してからも、組織の中で、仕事の過程で間違いなく顔を出します。
その意味で「悪口を言わせる」は、目の前にいる人の心を裸にするための、すごいノウハウだと思います。
就活では、これを逆手に取りましょう。面接でも、エントリーシートでも作文でも、エピソードを語るときに、キーマンとなった人への評価を入れることです。悪口だけじゃカバチタレと誤解されるので、その人のいいところとわるいところ、それに自分がどう対応したのかを事実に即して客観的に書くのです。「その時、サークルのリーダーは」「バイト先の正社員は」「ゼミの先生は」。
やってみるとわかります。長所と対応は簡単に書けますよね。でも短所について感情を交えずに表現することは、とても難しく感じるはずです。でも、上手に書けたらエピソードにリアリティと迫力を加えてくれるはずです。
くどいようですが、重要なのは客観性です。単なる人格否定のカバチじゃだめです。その人は何を間違ったのか、何がダメなのかを客観的に分析し、それを自分でどのように解決したのか。それは成功したのか、失敗したのか。
人事担当者は、エントリーシートを読んだり面接しているその人が、会社に入ったときにどのような振る舞いをして、どのような仕事に向くのか、ということだけを考えて評価をしていると考えて間違いありません。それが手に取るように分かるのが、悪口の言い方なのです。
周到に準備して自分の体験を語り、客観性のあるアピールをするようにしてください。
(チノ 出版社勤務 編集者 総合科学部1985年卒)
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