仕事で評価される人の共通項

サマリ:
(1)構造化が全ての土台
(2) 人を、「納得させる」は2流、「心を動かす」は1.5流、「行動に移させる」が1流
(3)「納得させる」には、「構造化」と「ファクト」が重要
   「心を動かす」には、「イメージ化」が重要
   「行動に移させる」には、「感動の演出、道しるべの提示」が重要
(4) 新卒就活では、1.5流までで十分

新大学4年生、新修士2年生のみなさんは現在就職活動の真最中かと思います。なかなか書類選考に通過しない、もしくは通過しても面接がどうしても通らない、という悩みを持っている人についても、問題・課題が顕在化してきた時期かと思います。ですので、これまでお伝えしてきた抽象的・概念的なお話というより、今回は少し具体的なお話をできればと思います。

私も採用選考の面接官に駆り出され始めて早数年たちますが、私自身が評価をする際には大きくステップとして三つの指標を持っています。
※注意)あくまで私の主観です。ですが一定程度共通項でもあると思います。

一つ目は「学生の話が自分の腹に落ちるかかどうか」です。これは客観的に「基礎・基本ができているかどうか」を見ています。
二つ目は「その学生を人に薦めたいと思うかどうか」です。これは主観的に「優秀かどうか」を見ています。
三つ目が「その学生を自分の部下におきたいかどうか」です。これは主観的に「私がリスクを負えるかどうか」を見ています。

学生の話が自分の腹に落ちるかかどうか

まず、一つ目の「学生の話が自分の腹に落ちるかかどうか」ですが、これまでの面接で低評価をした学生の多くは残念ながら最もこれができていませんでした。裏を返すと基礎・基本ができていない準備不足の学生がとても多い、というのが正直な実感です。ですので、まずは一つ目をクリアできるように、しっかりと土台を作って頂くための手助けに本章が微力ながらなれば良いと思っています。

例えば、以下のような例文があります。

「毎週水曜日の午前にある全社会議で話が出たが、4月以降に進める予定のXXプロジェクトの作業として、企画書作成を2月15日までに対応して欲しい。年度末までのプレ段階で準備の上、本番フェーズに入り次第すぐにキックオフ MTG を行う必要があるので、そちらの調整も同時に進めて欲しい。

尚、企画書上の数字の最新化は必ず行って欲しいので、提出1週間前のデータで行うように。XXプロジェクトについては私も含めYY部を中心にメンバーを選んで欲しいので、必ず企画書にも名前を記載するようにして欲しい。

また、4月以降は生産性向上のための会議短縮化方針がでたので、必ず1時間以内に収まる様にして欲しい。3月15日までにキックオフの日程調整をしてもらい、その際に定例アジェンダの内容が大丈夫そうかを確認できるようにしたい。

これらを含んだ全体スケジュールを取り急ぎ2月5日までに引いて欲しい。」

なんだかよくわからないですね。

やるべきことは何か、いつまでにそれを行えばよいかがよくわからない文章になっています。ではこれをある程度“構造化”すると以下で整理できます。
(ちなみに構造化に正解はありませんが、模範的な回答はあります)

・依頼事項
 ・全体スケジュール策定
  ・期限
   ・2/5 まで
 ・実作業
  ・内容
   ・プレフェーズ(~3/31)向け
    ・XXプロジェクトのメンバー選定
     ・備考)YY 部のメンバー中心に要選定
    ・企画書の作成
     ・備考)データ収集は期限1週間前に要実施
   ・本番フェーズ(4/1~)向け
    ・プロジェクトキックオフMTGの調整
     ・備考)毎週水曜日午前は全社会議の為、設定不可
    ・定例会議のアジェンダ作成
     ・備考)会議は1時間厳守
  ・期限
   ・プレフェーズ
    ・2/15 まで
   ・本番フェーズ
    ・3/15 まで

段階構造的に、時系列を示し、粒度を揃えました。これが構造化で、基本的には書類であろうと、面接でのプレゼンテーションであろうと、すべてはこの構造化が土台です。これができていなかったり中途半端だったりすると、大体の面接官は「うん、よくわかんない」となり、結果的に腹落ちせず低評価となります。

大なり小なり皆さんも頭の中でできているものの、いざアウトプットするとなると中々上手くいかないと思いますので、構造化の癖付けをぜひチャレンジしてみてください。加えて、構造化した最下段の説明ごとに、ファクト(=事実)を付け加えることで、これまで以上に相手を「納得」させる力が向上すると思います。

その学生を人に薦めたいと思うかどうか

二つ目は「その学生を人に薦めたいと思うかどうか」です。

面接官を納得させることができたとしても、評価してもらえるかは別問題です。そのために大事になのは、自分像を面接官の脳内に投影してあげること、すなわち“イメージ化”です。言葉だけ、と、言葉+イメージ、では、面接官に浸透する情報量が違います。

例えば、以下のような例文があります。

「私の強みは、逃げない胆力です。これまで辛い部活でも逃げずにモチベーション高く結果を残してきたため、どんなつらい仕事でもやりきれる自信があります。」

これを“イメージ化”すると

「私の強みは、逃げない胆力です。例えば、御社で即座に対応すべき炎上案件があったとします。恐らく誰もやりたがらない仕事だと思いますが、私はあえて挑戦します。なぜならその火消しというチャレンジができる状況自体に私はモチベーションを感じる人間だからです。学生時代の部活では…」

という感じになりました。

結果的に伝えていることはそう変わらないのですが、例えを面接官の立場で提示することで相手に場面をイメージさせ、相手に浸透する情報量が増えました。こういう説明が上手くできる学生は、仕事上でも相手の目線で仕事ができるので、私は評価をするようにしています。

その学生を自分の部下におきたいかどうか

そして最後の三つ目は「その学生を自分の部下におきたいかどうか」です。

これまでの二つは、「優秀な部分を評価」すなわち「いい人だと思うので採用したら良いと思います」という目線でした。ですが、この三つ目は「優秀でない部分も含めて評価」すなわち「自分がリスクを負ってでも採用したいです」という目線です。なぜ、優秀でない部分も評価するのかというと、自分の言葉で責任をもって推薦できる学生かどうかを判断したいと私は思っているからです。では、この部分を学生が攻めるメリットを説明します。

一般的に採用活動に協力をしている社員は総じて採用結果に責任を持たないケースが多く、複数人の評価を総合的に見た結果不合格となると、それで終了となります。面接は運要素も大きくからむため、複数人評価で差が出ることも多々あります。ですが、ある1人が強く推薦した場合、不合格(仮)がひっくり返ったり、その後の選考にアドバンテージを利かせたりする事ができる場合が往々にしてあります。ですが、面接官に強く推薦をしてもらうことはとても難しいです。そのために必要なのが、“感動の演出”と“道しるべの提示”です。

例えば以下の様な例文があります。
(前提条件として、面接官は体育会出身者とします)

「私は人がやりたがらないことを積極的に取り組める点が強みです」

これに“感動の演出”と“道しるべの提示”を加えると

「私はサッカーを高校までやっていましたが技術が上達せず、一度も試合に出場することができませんでした。それでもチームの役に立ちたいという強い思いから、辛かったですが、自らプレーヤーを辞め、マネージャーに転身し、チームを支える活動を行う事を選択しました。もし御社に入社して、同じように壁にぶつかって挫折しそうになっても、あらゆる手段で組織の役に立つ方法を模索し実行に移すひたむきさと行動力が私にはあります。」

という感じになりました。

これを見て面接官は「自分もスポーツをやっていたから自らプレーヤーを辞める辛さがわかる。この学生は、要領はあまり良くないかもしれない。でも自分の下に付いた場合、がむしゃらに腐らずに頑張ってくれる気がする」となるでしょう。

面接官の脳内に将来的に一緒に働くイメージまで湧かせることができました。そうすると面接官は(勿論、他の部分で評価をしていることが前提ですが)自分事として推薦をしたくなる、となります。ポイントは面接官との共通点を面接の最中に見出す事なのですが、こればかりは若干運も絡むので、割り切って頂いても構いません。

以上3つを就職活動に置き換えて説明をしました。

基本的には新卒の就職活動においては二つ目までで十分だと私は考えており、三つ目はあくまで更にできる場合はやると良いかも、というものなので、あまり引っ張られないようにして下さいね。

最後に

最後に、ここだけの話ですが、私が現在働いている会社(コンサルティングファーム)は先ほどの三つ目の評価を相当重視しています(一つ目、二つ目はもはや前提)。インターンの選考ではそこまで見ないのですが、本選考では現場長の複数人から「自分の部署で採用する」というお墨付きがでなければ内定を出さない仕組みになっているようです。

これまでの2社(総合商社、不動産デべ)でも複数人の高評価が前提だったため、全員から80点で平均80点ではなく、平均は70点でも数人から90点をもらう方が結果的に採用につながるのかもしれません。

(師範代 カネコ)

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