就職活動を乗り切ることだけがあなたのゴールですか?

大量一括採用、終身雇用、年功序列の日本型雇用システムは、私が入社した当時の20年前と比べてずいぶん変化しています。
私自身はOB訪問を始め、営業部出身としての採用面接官も経験し、また、自分が評価、採用した学生の入社後のキャリアを見ても、そう実感しています。

例えば、年功序列に関しては、入社時の給与に差をつける制度が以前に比べてよく聞かれるようになりました。優秀な若手社員を意図的に引っ張り上げる仕組みは様々な会社で実行され、伝統的大企業であっても部長の年次が部下より若いということは日常茶飯事となっています(まだ課長クラス(40歳前後)の年次逆転は少ないですが)。

401Kの導入、転職支援の制度等インフラも整備され、転職するチャンスはそこら中に転がっており、実際に弊社でもかなりの人数が中途退職していますし、逆に中途採用も行っています。

転職に対する世間の印象も随分変わりました。全ての転職者がキャリアアップのために転職しているかというと、そうではないため、転職=ポジティブはならないと思いますが、以前の、転職=その会社にうまく適合できなかった脱落した人、リストラにあった人的な短絡的にネガティブに捉える見方は殆ど見られないと言って良いでしょう。

ハッキリとした数字は分かりませんが、今年60歳を迎える多数の方々が生涯1社だけのために働いて還暦を迎えたとして、その割合を7割としましょう。逆に来年入社する7割の方は、転職を経験した上で還暦を迎えることになるのではと個人的には思っています。

つまり、最初に就職する会社は、あなたの希望の有無にかかわらず60歳を迎えた時に定年退職する会社ではない、という世の中になっていく環境の変化を踏まえ、その前提で行動した方が良いでしょう。

その上で、学生生活中に何を考えどう行動するかに関して、私からのメッセージは2点です。この2点を常に自分に問いかけながら残された学生生活を存分に楽しみ、社会人になってからも切磋琢磨して貰えると幸甚です。

1.就職をゴールに設定しない

企業は、この学生が企業に対してどのような価値貢献をしてくれるか、くれそうかという目で学生を評価しています。いったん就職してしまえばこっちのもので、会社の人材育成プログラムに沿って育てて貰えば良いや、という考えで就職活動に臨んでいる方は危険ですよ。表情やちょっとした言動で見抜かれてしまいます。

「自分は与えられた環境の中で今までこんなことを考え、こんな行動し、こんな結果を残してきた。採用面接は企業が学生を採用してあげるではなく、学生も企業を選んでいる。自分を活かす環境を提供してくれたら、その環境を充分に活用して、企業が期待する以上の価値貢献するつもりなので試してくれ」

と言うぐらい生意気で良いと思います。

2.常に市場価値を意識する

年功序列の慣習がなくなっていく事に対して、若い方々は単純にチャンスと思っているのじゃないかな?と若干心配しています。
5~10年の辛い下積みをせずとも、下積み期間を短縮して大きな仕事を任せて貰えるかもしれないと思っていませんか?
最初の会社で5年働き、チャンスを活かしてキャリアアップを狙おうと思っている人もいるかもしれませんね。

でも、よく考えてください。これ、全て実力があればという前提付きの話です。そして実力がなければ年次逆転の憂き目にあうのは時間の問題であり、年次逆転どころかポジションダウンによる減給もありありですよ。

1つの企業にとらわれない働き方が浸透し、企業側も、ポストが空いた際の適正人材を、内部人材のみではなく外部人材も含めて公平に評価したうえで招聘する意識が、今後浸透していきます。

企業内で同年代との実力差を意識するのはもう古い。スタートアップの経営者として活躍している同年代や業界内の同年代をライバルとして、自らの市場価値を常に意識することで、キャリアアップのチャンスに確実にアクセスが可能となりますし、そもそも緊張感をもって日々の業務に取り組むことができるようになります。自社が傾いたケースのリスクヘッジにもなりますしね。

手っ取り早い方法として、内定取得の次の日から市場価値アップのために短期留学に出かけても良いし、MBA取得の準備に取り掛かっても良いでしょう。
ほんのちょっとした意識の差ですが、他人と異なった言動や行動の面では想像以上のプラスの効果が期待できるでしょう。

という私自身はというと、勉強が好き、仕事が好き、自己研鑽が好きと心の底からそう思っているわけでもなく、ゲーム、映画、ゴルフ漬けの毎日を送りたいサボリ魔ですので、毎日葛藤しています。苦笑

(キタジマ 総合商社勤務 法学部 1999年卒)

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