空気が読めない就活生のことが心配です(緊急座談会)

広島大学東京オフィスは、企業訪問をする学生の支援をしています。社会人となるのであれば、当然知っていて当たり前のマナーが身についていない学生さんがときどきいらっしゃいます。無事、就職できるのか心配です。(広島大学職員)

出席者

田中太郎
アオキ
職員X

緊急座談会

田中太郎「社会人として行儀作法は重要だし、学生時代に身につけているべきものです。企業の採用担当は面接の受け答えはもちろん、ドアの開け閉めから椅子の座り方までみています」

職員X「たまにいらっしゃるんですよね、空気読めない人」

アオキ「ある意味で空気読めないくらいの方が、良い人材かも。細かいことをまったく気にしない学生は、エラーしても三振しても平気なカープの小園選手に通じるものがありますよ。

ただ、ドラフト1位が必ずしも芽が出るわけじゃないってことと同じで、余裕がある企業なら、少しくらい外れた人間も採用するかもしれません。こういう人がノーベル賞をとる可能性だってある」

田中「周囲を気にしない職人肌の研究者は確かにいます。ただし、すべての人が成功しているのではありません。プラスマイナスで言うならばマイナスになってしまうのだから、遅いかも知れないけど社会人の先輩として注意しておくべきだと思うな」

職員X「そういう人は上から目線というか言葉遣いもなっていませんね。でも、大物になる人は振る舞いも空気感も構わない方がいらっしゃいますよね」

アオキ「一般的に大学の研究室のあり方にも問題があるのではないでしょうか。教授を頂点としたヒエラルキーが強固で、周囲の人間に対して雑用係のように接しているとかいう話はどこででも耳にします。学生さんはそういう姿を見てしまっているのかも知れません。

教員の側がまず居住まいを正して、社会人としての常識を教えるべきでしょう。もちろん、選手に暴力を振るう監督のような指導はダメですよ」

田中「学者の方と付き合っていると確かに師弟関係の厳しさを垣間見ることがあります。だからこそ、社会人としてのマナーも厳しく教えられるはずです」

アオキ「採用試験では、お昼に学生へ弁当を配って会社のビルの中庭で採用担当と一緒に食べるという試みがあります。午後からの面談に備えて一人でベンチに座って食べている人。午前中に知り合ったばかりでLINEの交換を始める人。採用担当者にその企業の将来性を尋ねる人……。

実は、採用担当はこのお弁当タイムも各自の行動をチェックしています。ミスマッチのないよう、自分の会社に必要な人材を確保すべく目を光らせています」

田中「素の人間性って就職の採否におそらく影響しています。会社を訪れて最初に行く受付での応対や、面接を待っているときの態度。会社とのメールや電話でのやりとりも。ひょっとして採用側も気付いていない、トータルな印象はちょっとしたことの積み重ねで出来上がっているものだと思います。

学者でも企業人でも、できる人って恐ろしく腰が低いものです。それは、そっちの方が得だと知っているからに他なりません。ノーベル賞を取るような科学者の多くは腰の低さのエピソードがよく取り上げられます。

知り合いの出版社役員も部下をギリギリ締め上げて成績を伸ばしたのだけれども、ここぞと言うときは人を持ち上げます。意見があわない人も心の隙を突かれたように、ころっと許しちゃうらしいです」

アオキ「年功序列、終身雇用は昭和の時代のことで、近ごろ、まともな企業は中途採用も多いし、働き方改革にも積極的です。部署で暑気払いに懇親会をやるとなっても、あくまで任意。欠席でも構わない。そうした環境の変化で、個人主義的な若手社員が増えたような気もします。

プライベートなことは一切話さないし、聞けばセクハラ、パワハラおやじとレッテルを貼られる可能性もある。だから結婚しているのか、子どもがいるのか、パートナーがいるのか、独身なのか分からない職場の同僚はいっぱいいます。

大学でもマナー教育とかやりにくい雰囲気になっているのでしょうかね」

田中「学生のみなさんへ、マナーの話を一つ。就活関連で、先輩の話を聞くときにメモを取っていますか。そのメモを取るリズムで、話を聞いているかどうかが分かります。そもそもメモを取る習慣がない学生も多いのです。

メモなんて就活試験と関係ないと思うかも知れないけど、実は人間性をみるという部分では大きな評価ポイントになっているんです」

アオキ「田中さんも、この間書いていらっしゃったけど、メモの習慣と同じように新聞を読む習慣も大切ですよね。質問の受け答えで読んでいるかどうかが、すぐにばれてしまう。

ニュースをスマホで読むのは、まだ読まないよりましですが、一次情報のその先にある背景まで読み解く力。スマホで検索してもたどり着けるけど、自分の主義主張にあった論だけでなく、さらに多様な意見を考察するのには相当難易度が高くなります」

田中「就職相談を承る機会は数知れずですが、その後、お礼の連絡は2割くらい。最終的にどこの会社に就職したのかという報告もありません。逆に言えば、これが日常的にできる人はたいしたもので、就活もうまくいくでしょう」

アオキ「田中さんのような立派な人と社会に出た後も連絡をとりあえば、必ず人生の糧となるのに。もったいないですよね(笑)」

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