就活の縁は運で決まる。チャレンジをとことん続けよう

現役学生の、特に3年生4年生のみなさん、今後の展開がまったく予測不能のコロナ禍で就職活動、大変だと思いますががんばってくださいね。

ところで脅すわけではありませんが、就職活動が100%うまくいくなんてことはあり得ません。どんなに熱意を示しても、努力を重ねたつもりでも、いわゆる「お祈りメール」は届いちゃうものです。

ここで力説しておきたいのは、志望企業と縁がなかったからといって、落ち込んじゃダメってことです。あなたが全否定されたワケじゃ決してありません。

企業との縁、もっとも大きな要因は運です。インターンにしろエントリーシートにしろ最終面接にしろ、人気企業であれば千単位万単位の学生が手を挙げます。採用側からすれば、本当に人を評価するにはあまりに少ない材料しかなく、それを短時間で判断せねばなりません。しかも、選ぶ人が正しい判断を下せているとも限らないのです。

そんなむちゃくちゃな、と思われるかもしれません。しかし、仕事のキャリアだけではなく人生ってのはほぼ偶然の積み重ねだということは、学術的にも当たり前とされているのです(興味のある方はPlanned Happenstance Theory で調べてみてください)。あなた、広島大学に入ったことも、趣味や友達との出会いも、今この拙稿を目にしているのも何かの偶然が働いていると気づきませんか? これから先の人生、何倍もの偶然に左右されます。もちろん、就活も同じです。

ただし、運は引き寄せることができます。そのためには、常に前向きにチャレンジを続けることです。チャレンジの回数を増やし、チャレンジする対象を広げることで運を引き寄せるのです。1回2回だめ出しを喰らったところで落ち込んでいるのは時間の無駄です。

そのほかにもできることはあります。

まずは自分の心を裸にすることです。

ある有名な精神科医が、10代20代の心理、つまりみなさんにある程度共通している思考パターンを分析しています。大意「自分には秘められている能力が備わっていて、ある日、だれかがそれを発見してくれてまったく新しいステージに招待される」。よくある戦隊ヒーローものの主人公のような物語ですが、現実にはそんなことは起きません。そういう私自身のことを振り返ってみても、同じようなイタい部分が思い出されます。この根拠のない自信は早いうちに修正しておかねばなりません。

エントリーシートにも、根拠のない自信は顔を出しています。「私は常に前向きな気持ちで・・・」「問題解決のために努力して・・・」「仲間と心を一つにして取り組んで・・」こんな言葉が随所に出てきますが、共通しているのは「どのように?」の具体性がないことです。自分の長所を裏付ける具体的なエピソードがなければ、伝える相手に対する説得力に欠けるだけでなく、自分が考える自身の長所自体が単なる思い込み、良く見られようと思いから出てきた虚飾、偽った自分であるかもしれません。根拠のない自信とはそういうことです。

本当に自分は積極的な人間なのだろうか、粘り強く好奇心旺盛なのだろうか。努力家なのだろうか。言葉にする前に、自分自身のこれまでを冷静に振り返ることです。こうした振り返りの作業を「人生の棚卸し」と呼びます。

会社も社会も大学も、いろんなタイプの人がいて、その多様性で成り立っています。世の中で広く評価されるような「明るく前向きでリーダーシップに富んだ頭のいい」人物像なんて幻想でしかありませんし、あなたがそうあるべきである必然性もないのです。

棚卸しを通じて見えてくるはずの本当の自分、それがあなたの長所であり短所なのです。説得力ある形で正しく自分をアピールするポイントがそれだと言い換えることもできます。

もうひとつの今からできることは、自分の目標に向かって正しく無駄なく努力する、その道筋を見つけることです。

いまや世界のスーパースターになった野球選手、大谷翔平は最初からスーパースターだったのでしょうか。多少、体格に恵まれたという要素はあるにしても、尋常ならざる努力を積み重ねてきたことは間違いありません。それを物語るものがあります。高校1年生のときに作ったマンダラチャートです。ネットで「マンダラチャート」「大谷翔平」で検索すれば簡単に見つかりますので、一度ご覧になってください。いまの大谷像は、このチャートそのものであることが分かります。

9×9のマス目で構成されています。真ん中に最終目標(8球団からドラフト1位を受ける)、そのための8つの中間目標(スピード160キロやメンタルだけでなく、人間性という項目もあるのが驚き)を周囲に置き、その8つそれぞれの目標達成のために、さらに8つの日々達成可能な目標(食事夜7杯朝3杯、身体を開かない、から、本を読む、ゴミ拾いまで)に落とし込んだものが可視化されています。余計なことを考えず、この日々の目標をひたすらに積み上げるのです。そうすることで上位の目標と最終目標が実現できる、そういう構造です。

つまり、メジャーでスーパースターになるための努力も64の日々の目標にブレイクダウンでき、それを実践するだけなのです。目標ははるかに高いけど、無駄もブレもありません。

このマンダラチャートは、10年後の大目標にも、1週間後の準備にも使えます。あなたの就活に、この手が使えないワケがありません。「明日やろうは馬鹿野郎」です。さあ、いまから始めましょう。

(出版社勤務 編集者 総合科学部1985年卒 日本経団連CDC認定キャリアアドバイザー)

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