働くことのニューノーマル

コロナの収束が見えず、感染者数に一喜一憂している昨今の状況の中、生活様式が以前に戻ることはないと言われています。アメリカのノースウエスタン大学 ケロッグスクール教授、フィリップ・コトラー氏は、こう言っています。(2020.4.16日経ビジネス コトラー教授の緊急寄稿より)

・「自分たちの元の生活に戻りたい」と思っている。しかし、振り返ってみれば多くの人々にとって、その生活がそれほど良いものだったかといえば、実は必ずしもそうではなかった。多くの人々は貧しかったし、おなかをすかせていたし、そして何よりも働きすぎていた。

・ここから多くの人々が充実し、満足する生活ができる機会が得られる「ニューノーマル」をつくっていくべきだ。

これが、いわゆるニューノーマルと言われる起源となっています。

私を取り巻く環境も大きく変わってきました。毎日オフィスに向かう、会議は社内・社外に関わらず実際に会って実施する、頻繁に国内・海外出張に行く。このような以前の働き方も大きく変わってしまいました。

私はこのニューノーマルの働き方において、大きく2つのチャンスを感じています。

それは、

1.今までの当たり前を見直す機会
2.各自の選択肢の増加

です。

今までの当たり前を見直すということでは、このコロナの状況を経て、なぜオフィスに行く必要があるのか、実際に会って打ち合わせをする必要があるのか、ということを改めて見直す機会となりました。

また、就職の概念としても、日本の会社の仕組みは、いわゆるメンバーシップ型と言われる、欧米のジョブ型とは違う形式です。まず今までの大手企業は、新卒を採用し、その後に仕事を割り振る、いわゆる“就職”ではなく、“就社”と入れている概念です。

企業も終身雇用が厳しい状況になっている中、まだまだ法律により、欧米のように簡単に首を切られることはないと思いますが、このコロナの景気不透明を受け、年功序列、年齢とともにサラリーが増えていく時代が急激に変わってきています。日本において働き方の当たり前ということが大きく変わる機会が到来したと思います。

2つ目に関しては、この状況が我々に働き方の選択肢を増やしました。

在宅での勤務が普通となり、各自の働き方によって様々な選択肢が増え、生活と仕事のバランスがとりやすくなりました。女性からは、メイクをせずに仕事ができる、着替えなくても良いので色々な負担が減った、などの声も聞こえてきています。

一方で、働き方の選択肢の増加は、マネージメントからの視点では、部下の評価の変化も生みました。

今まで多くの企業がそうであったように、勤務の時間で何となく評価されるのではなく、パフォーマンスの差によって評価されることが顕著になってきています。今までは、会社で長時間、遅くまで仕事をしている人は、何となく頑張っているように見えることがあったかもしれませんが、在宅勤務がベースとなると、そうはいきません。また、個人の仕事の責任の範囲も明確化され、より仕事のアウトプットが多い人と、そうでない人の差が露骨に出てきました。

これから就職活動をされる学生の皆さんにとっては、働くこと自体のスタンダードがない中でこんなことを言われても、なかなかピンとこないかもしれませんが、このような変化の時代に就職活動をし、社会に出ていくということは、ぜひ認識しておいていただきたいと思います。

「働くことのニューノーマル」というテーマで色々と書きましたが、どのような時代になろうとも、自分一人で起業しない限り、働くということは、あるグループの中に入り、チームで同じ目的に向かって進むこととなります。在宅勤務であろうとも、やはりその会社で働いている人々と一緒に働きたかいどうか、その会社の雰囲気が自分とあっているか、そこで働くイメ―ジができるかどうかをしっかりと見極めたうえで、その会社、仕事を選択するべきであると考えます。

ぜひ、学生の方々もOB、OGの方々を頼って、その会社、業界のいろいろな話を聞きに行ってください。

(谷 敏弘 マーケティング会社勤務 工学部 1999年卒)

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