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(2018.1制定)
正直言うと、気が遠くなりますね。今どきの就活では「オヤオリ」「オヤカク」が企業の人事が取り組み始めたテーマになっているのだとか。
まだこの言葉をご存じではない純粋無垢でまっとうな学生生活を送っているあなたには、説明が必要かも知れません。
内定を出した学生の親に、「親のあなたも了解していただけていますよね」と就職の意思確認をするのがオヤカク(親に確認、の略)、親に対して「うっとこはこんなにイケてる会社だから安心してね」と企業の説明をする場がオヤオリ(親にオリエンテーション)です。
というのも、少なくない経営資源を投入して採用活動の末に内定を出したのに、親がしゃしゃり出てきて辞退をさせる、そんなケースが頻発しているから、こんなことが始まっているわけで、これじゃ親も一緒になって就活しているようなものです。ウン十年前に就活をした私からしたら、そんな時代になってしまったのか、と戸惑いすら感じます。
子供には幸せな人生を送ってもらいたい。その気持ちは今も昔も変わることはありませんし、否定のしようもありません。親の世代はバブルで浮かれた後に、いきなり経済が崩壊。長らく続いたデフレの中でいろんな経済事件や倒産劇、働く人たちの悲劇を目撃してきました。どれもこれも未知の体験、自分の苦労も半端なかったはずです。子供には同じ苦労をさせたくない、自分の経験を少しでも生かして欲しいという気持ちになるのは当たり前かも知れません。
しかし、だからといって、子供が自ら考え、努力して勝ち取った内定に良いの悪いのなんて、子供の人生に責任取れるつもりなのか、親の過保護も極まったな、日本はそこまで劣化しているのかと説教したくなります。もちろん、正しく間違っている親に対してです。
しかも、親が考える価値観なんてじつはいい加減なものです。自分が働いている業界のことは正しく分かるのでしょうけど、それ以外の部分では、「テレビでCMが流れている」「みんなが知っている大企業」「就活生の人気ランキングで上位にある」「給料がよさそう」「安定している」、そして「親として自慢できる」。私も親世代、話す機会も多いのですが、何の根拠もない、偏った価値観や自分の見栄で会社の善し悪しを語っているのではと疑うことが少なくありません。
そんな親世代には声を大にしていいたい。「あなたの親(ここではみなさんの祖父祖母ですね)から、製紙や砂糖やセメント会社がいいといわれて、頭古いなぁと思いませんでしたか」(高度成長期には3白といって、これら白いものを作る会社が大人気でした)、「あなたの時代にはバブルで浮かれた金融機関や不動産会社が就活生の人気を集めていたのだけど、その後、地獄を見たことは知っていますよね」「インターネットもなかった時代に、いま時代の担い手になっている企業のことを想像できましたか」「安定を求めて就職先を選んだはずなのに、その後、翻弄の人生を送っている知り合いがいるのじゃないですか」
ビジネスの社会はじつに多様で複雑です。普通に生活していたら名前も知りようがないため、親世代にも知名度は低いけど、世界の土俵で戦える企業、時代の最先端をいく企業は山ほどあります。世間的な評判はどうあれ、あなたが飛び込んでみたい世界だってあるでしょう。
企業に対する価値観、世間の評価、日本や世界の経済状況なんて10年20年のうちにガラリと変わってしまいます。しかも、何がどう変わっていくのかはだれも予想できません。それこそ親世代が身を以て体験してきたことです。
でもあなたは新卒として、とりあえず飛び込んでみた世界で、長ければ40年近く働くことになります。勤めている会社の危機もあれば、転職することもあり得ます。産業構造の大転換や天変地異も起きます。
どのように慎重にことを進めたところで、だれの人生ににも避けがたく「運」や「偶然」がつきまうものです。
そうした諸々の不確実性をすっかり忘れてしまっている(としか思えない)親の言葉に従って、その結果、失敗したと思ってしまったら、あなたは親を一生恨むことになります。
就活はあなたの、あなただけの人生の第一歩です。他人様の生き方、親の気持ちにまで口出すほど私は偉くはありませんが、就活生のみなさんにはそこをよく考えてもらいたいと切に願っています。
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