夏休みに読書を極めたい

 本好きの知人、それも一冊を回し読みしたらしい複数の知人たちが、宮部みゆきの推理小説「理由」を絶賛していました。「絶対に読むべきだよ」と強く勧めてきました。そこまで褒めるのであればと、読むことにしました。ですが、いざ読み始めると、最初の10ページほどで挫折してしまうのです。「読み始めては本を閉じる」というのを5~6回繰り返したところ、テレビでドラマになった「理由」をたまたま見たのでした。「こういうストーリーなのか」と理解したうえで読み始めたら、やっとページが進みだし、評判通りの面白さでした。

 本を読むには体力がいります。

 綾辻行人の推理小説「十角館の殺人」も読み出したら止まらない面白さなのですが、最初はなかなかページが進みませんでした。「推理小説が苦手なジャンルなのではないか」という声が聞こえてきそうですが、そうでもないようです。

 2週間前に立ち寄った書店の新刊文庫コーナーで、「昭和探偵4」という本が平積みされているのが目に入りました。表紙の絵がレトロで、プロレスラーのデストロイヤーがテレビの画面からはみ出しそうです。巻頭の著者プロフィールによれば、風野真知雄。もともと時代小説の作家で、昭和探偵は書き下ろしシリーズとか。昭和にまつわる調査依頼を熱木(あつき)探偵が、難題を乗り越えながら解決するのです。一方で、馴染みになったばかりのスナックで、昭和の大悪事も同時進行でひもといていきます。遡って1~3巻を買いそろえ1週間で読み終えてしまいました。5巻が出るのが待ちきれず、いま風野真知雄の時代小説をかたっぱしから乱読しているところです。

 さて、就活の話です。面接の想定問答を考えるうえで、「読書」というのはぜひ、自分の手数「頭の中の引き出し」の1つに入れておきたい。私が就活生であったなら――「風野真知雄を愛読しています」といい、昭和探偵の「昭和あるある感」を具体的に説明します。仕事の合間に片手間で読んだのですが、立派な風野ファンになりました。いや、なりすまします。

 読書に関する「引き出し」での注意点は、「推理小説が好きです」と曖昧ですまさないこと。採用面接者が江戸川乱歩の大ファンだったら、質問について行けず、お手上げの状態になります。こちらから、先手を打って「推理小説の風野真知雄を愛読しています」と言えば、こちらのペースです。誰でも知っている超有名な作家でもなく無名でもない。面接者も相手の話を聞くしかないという流れにもって行けます。

 本の話でもう1つ。
 海外留学や海外ボランティアをまったく考えていない学生のみなさんへ。その経験者と対等に就活をたたかう策として、沢木耕太郎の「深夜特急1~6」を読むことを勧めます。どこの書店にもあるし通販でもすぐに手に入ります。

 貧乏学生でして、バイト暮らしで学費・生活費をなんとか捻出しています。他の学生は夏休みを利用して海外へどんどん出ていっていますが、私には余裕がありません。そんな中で、海外に触れたい思いから、深夜特急を読んでは、また読み返しています。香港から東南アジアを経てバスで欧州まで旅する話は、広島で寮とキャンパスとバイト先を毎日行き来する私には、新鮮そのものです。在学中はバイトがあり無理ですが、御社に就職できたならば、そして、もし海外赴任となれば、深夜特急に思いを馳せて、御社のために働きたい。そのために英会話を怠ることなく学んでいます。

 面接で、こんなエピソードをとつとつと語れば、評価に加点されることはあってもマイナスにはならないです。具体的に自分を話すことができることが大切です。みなさん。この夏、書店で素晴らしい本に出会うことを願っています。

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