なぜ採用面接をやるのか、そこから発想すれば面接は突破できる(たぶん)

面接をクリアするにはどうしたらいいか。

・面接官からの質問に的確に答えることができるか
・面接官に好印象を与えられるか

そこがポイントであるように考えるでしょう。世の中にあふれる指南書にも同じようなことが書かれています。外形的には間違いないとは思います。

問題はそこから先です。「自己分析を突き詰めて、志望動機をブラッシュアップしよう」とか「この会社ではこんな質問が出たので、自分なりの答えを用意しておこう」「エピソードは具体性が命」などの対策が浮かび上がってきます。なんだかフィギュアスケートの技を競うような話になってきます。間違っちゃいけないとばかりに、緊張感もマックスになってきますね。

それでも、どんなに対策を練っても、同じようなことを語っても、落ちる人は落ちるし、不思議にいろんな会社から内定をもらえる人もいます。

何が違うのでしょうか。

その答えを探るために、立場を変えて、面接官や採用企業の立場に立って考えてみましょう。

なぜ面接をやるのか。

志望動機や学生時代の生活・学習への取り組み方を知りたいのでしょうか?

じつは、それはエントリーシートや履歴書などですでに充分に伝わっています。もしそれがダメなら、そもそも面接には呼ばれていません。

では面接をなぜやるのかというと、テキストにならないあなたの全人的な人柄を確かめるのが目的なのです。だから直接(あるいはリモートで)一対一の話をするのです。

自分がサークルやゼミに新しい後輩を迎えるとき、バイトのリーダーとして採用に関わることになったことを想像してみてください。その人のどこを見ていますか?

経歴でしょうか。その人を語るエピソードでしょうか。

恐らくは、もっと漠然とした何か、つまり人柄を見ているのじゃないでしょうか。

「この人の経歴は本当だろうか」「この人を仲間にして一緒にやれるだろうか」「どんな性格なのだろうか」「態度や物言いに、非常識なところはないだろうか」

採用面接もまったく同じです。いったん正社員に採用したら解雇は難しいし、生涯賃金にしたら何億円も払うことになります。一人の社員の働きようによって会社が大きく伸びたり、危機に陥ったりもします。採用に際しては、何百倍も真剣に人を見ているのです。

「でも面接では、志望動機や学生生活のことを必ず聞くじゃないか。そこを評価されるんじゃないんですか」、あなたは口をとんがらせるかもしれません。

ここでも相手の立場に立ってみれば分かります。

目の前に座っている志望学生と会話をするのが面接の目的です。会話にはきっかけが必要です。その学生とは初対面です。共通の話題は何でしょうか。一番手っ取り早いのが「志望動機」であり「学生生活のこと」じゃないでしょうか。

もしカープファン同士だったら「昨日の試合」とか「鈴木誠也のメジャー挑戦」のことを話しますよね。

高校の同級生だったら「昔の思い出」や「ほかの同級生の動向」などが話題の中心ですよね。

面接官の「志望動機」や「学生生活」も同じです。単なる話のきっかけでしかないのです。

では面接で試されるポイントとは何か。そこも相手の立場に立って考えたら見えてきます。

採用側の本音を分析してみましょう。

・エントリーシートなどに書かれている経歴や志望動機は本当か
・どんな性格か。どんな雰囲気を持っているか
・会社や業務に向いているか
・相手の話を理解し、きちんと返答ができて、コミュニケーションが成立するか
・社会人としての常識をわきまえているか

「志望動機」や「学生生活のエピソード」をきっかけにして、会話を通して志望者の内面を探る、それが面接の本質なのです。しかも、そうした内面は、10分も会話をしていれば、完全に丸裸にされてしまいます。なにしろ面接官は、毎年何百人もの学生に会っているだけでなく、これまでの人生でいろんなタイプの人間を目の当たりにしてきた人生の先達です。小手先のテクニックでごまかせるようなものではないのです。

面接官が見たあなたの内面が評価されるかどうか、これはいわゆる暗黙知の世界です。あなたと会社との、業界との相性としか言いようがなく、正解はありません。あえて言ってしまえば、運です。

しかし、明らかな失敗はあります。会話によって内面が見えてこない、あるいは誤解をされる場合です。これは対策を取らねばなりません。

といっても簡単です。

・ウソを言わないこと
・心を開くこと

自分のことを多少「盛る」ことは、どんな職業だろうと何歳になろうともやってしまうことです。でも、ウソは絶対にいけません。ウソはあなた自身への信頼だけでなく、会社の仲間や取引先との関係を崩壊させてしまいます。ウソをつくような人間と思われたら、どんなに優秀であってもまず最初に切られてしまうでしょう。

そして心を開くことです。面接は「心を見る」機会ですので、心を見せなかったら、面接自体が成立しないのです。

学生のみなさんと模擬面接をやってみると分かるのですが、心を開いていないひとが少なからずいるものです。

たとえば、面接官の問いかけに対して、用意してきたような答えを一方的にしゃべること。周到に準備をしているからでしょうが、むしろ逆効果です。一方的なアピールは「演説」であって「会話」ではありません。

「あなたが希望しない職種に配属されたどうしますか」「最初の数年間は地方の現場で経験積んでもらうことになるのですよ」などと、ちょっと意地悪な質問(これを圧迫面接などと呼ぶ人もいますが、面接官があえて圧迫しようなどと考えることはありません。一方的に「演説」聞かされたら「お前さん、そりゃ違うだろう」とツッコミ入れたくなる、そんなところから出てくる自然な言葉なのです)されるのも、心を開かせようとする「会話の流れ」なのです。答えづらい質問には、ついつい本音が出てくるものなのです。

真剣に採用しようとしている面接官に対して本心は隠せるものではありませんし、逆にいえば本心を明らかにした人だけが面接を突破できるのだと言っても過言ではありません。

簡単な方法があります。

面接官をゼミの先生だと思って会話するように心がけてみてはどうでしょうか。先生なので礼を失した話し方はしないでしょう。一方でお互いのことをよく知っているので、自分を飾り立てたり本音を隠したような態度は取らないはずです。つまり「一番身近な目上の大人」のひとりがゼミの先生です。

自然に会話が進んで、笑いのひとつでも、あなたに興味を持ったような言葉のひとつでももらえたら、面接はうまくいったことになります。

重ねて言っておきますが、あとは運です。

(出版社勤務 編集者 総合科学部1985年卒)

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