「広大東京リアル部」のページには、「広島大学公式ウェブサイト管理・運用指針」に基づき、東京オフィスが以下の基準を満たしていると判断した記事を掲載しております。
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(2018.1制定)
AIで世界中が大騒ぎになっていますね。日に日に賢くなっていて、画像にしろ文章にしろ、すでに見分けが付かなくなっていても驚かなくなっています。遠くない将来、あらゆる産業の構造を変えてしまうという分析も目にすることが増えています。
そして当然のように就活生もAIを活用しているようです。私もいろんな就活生のESや作文に目を通すよう機会が少なからずあるのですが、実にこぎれいにまとまっているものが多く、数年前とは比較にならないくらいレベルアップしているように見えます。
そう、「見えます」というのがカギです。いくら優秀な広大生とはいえ、急にレベルアップすることなんて考えられず、恐らくは何らかの形でAIの利用が広まっているのだろうと想像しています。そして単なる実感でしかないのですが、そうしたこぎれいなESや作文には採用担当者に刺さるエピソードや文言が少ないように思います。
それを裏付けるような新聞報道がありました。
「ロート製薬、新卒採用の書類選考を廃止 生成AI普及でES均質化」(2025年12月15日付日本経済新聞)。新聞記事だから淡々とした表現になっていますが、要するに「AIで当たり障りのないESばっかりじゃ、選考にならない。文章かかせるのは止めだ、止め」と人事担当者がサジを投げたってことです。ロート製薬がそうならば、ほとんどの企業の人事担当者は同じことを感じていることでしょう。
さらに、これをフォローする記事が同紙2025年12月23日付紙面に出ていました。
曰く、ある就職情報会社の調査によると、ES作成にAIを利用している学生は約6割に上っていて、そうしたAI利用の対策を企業もとりつつあるとのこと。AIを使ったかどうかを判定するAIを導入したり、AIが使える自己PRやガクチカを廃止して、自己紹介動画やプレゼンを導入する事例が増えているようです。
それでも、そうした企業はまだ一部です。これから数年はイタチごっこが続くことでしょう。
この状況をどう考えたらいいのでしょうか。
就活生なら「少しでも楽をして読みやすいESを作成したい」と考えたはずです。「会社のこといろいろ調べるのにAIは最強のツールだ」とも。ならば誰でも使えるAIを活用するのは正しい方法論になります。
逆の立場になってみてください。採用担当者は何百何千という書類に目を通し、これはと目を付けた学生に次の段階をオファーする作業をしています。その何百何千という中の半分以上が、同じようにこぎれいで、似たような文面だったら、似たような企業分析や志望動機だったら、どうでしょう。
選びようがないというのは当たり前ですよね。
つまり、AIで作られたESや作文や企業研究は、何のプラスにもなっていないのです。こういう構図を「部分最適(つまり就活生ひとりにとっての最適)は全体最適(全体の中で高い評価を得る)ではない」とされる「あるある」の典型例になっていることに、気がついて欲しいのです。正しく間違っていますよね。
就活は、人気企業なら数百人、数千人の中の何人かに生き残るサバイバルゲームです。多くの志願者の中で、ほかにはない自分をアピールする、そして志望企業の自分なりの発見を伝える、そうやってより多くの爪痕を残すことが成功のカギです。誰もが同じように使えるAIでアウトプットを均質化させてしまうのは、むしろ自ら負けの道を選んでいるようなものです。
多少、ゴツゴツした文章になっていても、むしろ苦労して書いていることが伝わります。AIには書けない自分だけの言葉でアピールできます。AIはネットにある情報しか使えないので、ネットにはない自分なりの発見、経験や分析で企業研究や志望動機をまとめることができれば、採用担当者に強い印象を残すことができます。
爪痕を残すとは、そういうことです。
結論は、「就活で勝ち残りたければAIは極力使わないこと」です。
P.S.この原稿を整理するために使っているソフトが「この文章は長いようです。AIで要約します」と表示してきました。大きなお世話だコノヤローと、誰に文句を言ったらいいのか、AIに聞いてみたらいいのでしょうか。AIさん、教えてください。
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