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(2018.1制定)
JOINって言うんですよね、スタートアップに転職するとき。普通の転職とは違うんだよ、自分のキャリアを試すため、社会問題の解決に正面から取り組むためのアニマルスピリッツあふれる行動なんだよ、って志の高さゆえにJOINという言葉を使いたくなるんでしょう。その気持ちは純粋、よくわかりますよ。
最初に断っておきますが、ワタシは、特に日本の社会においてはスタートアップがもっと活躍することを大いに期待しているし、周囲はそういう環境を整えて応援すべきだと考えています。
起業家は希有な人材です。人を採用するようになるまで立ち上げたスタートアップを育て上げた創業者、これは皆、極めて能力が高いスーパーマンであることは間違いありません。創業者の経歴を見ると、多くの人は有名企業でトップの成績を上げた、新規事業の開発に成功した、自らの取り組みに賞を与えられたとか特許を取得したといった、華々しい実績から創業に至ったということが分かります。
しかし、そこにJOINしようとしている社会人(就活生も含む)のみなさんは、語られることが少ない陰の部分について意識しているでしょうか。
転職が当たり前の時代です。そうしたスーパーマンの下でチャレンジしてみたい、今の閉塞感を打破したい、一攫千金を夢見て、そうしたスタートアップへJOINする人もまた増えています。知っておいてほしいのは、志高くスタートアップにJOINしたにも関わらず、数年で再転職や古巣への復帰をする人が少なくないって現実です。
なぜそうなったのか、何人かの途中下車組に聞いてみましたが、理由は驚くほど似たようなものでした。言い方はいろいろですが、要するに「創業者とそりが合わなかった」ってことです。
ビジネス上の方向性の違い、業務遂行上の考えの違いくらいの話であれば、どんな企業でも同じです。話し合いを重ね、周到に分析を行い、どこかで折り合いをつけて意思決定者につないでスタートします。そこで重要となるのは「理屈が通っているか」「周囲を説得できるか」「折り合いをつけられるか」といった点です。
「そりが合わない」って意味は、それをはるかに超えています。すべてのスタートアップというわけではありませんが、企業活動全般にわたる細部まで創業者の方針がすべてで、改善改革や新規の取り組みまで創業者の決定(ときに気まぐれ)がないと動けない、そのため途中下車組は窮屈で窒息しそうな気持ちになったのだといいます。
一般企業の常識的感覚では「無茶」「理屈が合わない」「だれも賛成しない」「折り合いがつけられない」という場合でも、創業者がやれと言ったらやらねばなりません。1,000円2,000円の経費にも了解が必要な会社もあります。創業者の胸先三寸で決まる昇給昇格は当たり前、社内の謎ルールや業務内業務外の無意味に思える諸活動も、暗黙のうちの強制力を持っているものです。スーパーマンも人間ですから、変わった考え方もすれば、人間的に弱い部分もありますが、すべてがそのまま日々の活動に反映されます。
じゃぁ、そうした構造はスタートアップの欠点なのかというと、それは違います。ある程度まで成長できたのは、正しかったからに他なりません。正しい考えが成功するのではなく、成功した考えが正しいのです。正しく起業に成功したスーパーマンはついつい、自分の分身でもある会社の活動隅々まで自分の意思通りであることを求めてしまいます。スーパーマンの言葉、行動、ときに気まぐれが、過度な形で「神の意思」になってしまう会社が出てくる素地になっています。
そこに、ある程度のキャリアや成功体験を積んだ社会人がJOINしたらどうなるか。めちゃくちゃはまる場合もあれば、「そりが合わない」場合も当然出てくるってことは、容易に想像できますよね。もし転職を考えるのであれば、そこを慎重に見極めなくてはなりません。会社が公表しているデータでは分かりっこないことでもあるので、創業者や社員と話し合う時間を十分にとることが必須です。少しでも違和感を感じたら、それが「そりが合わない」ことの兆候です。
では、逆にJOINに向くのはどんな人なのか。
まずは、まるで戦国武将のように創業者に心酔できて人生捧げる価値があるとまで考えられる人。
次に、財務法務総務営業など、特定業務に高い専門性を身につけていて、即戦力として欠くべからざるピースになれる人。
就活生のように、社会人の経験がなくまっさらで、いかようにも自分を染められる人も素材としてはいいのですが、その場合は安定が保証されていない、労働条件が厳しいベンチャー企業で働く覚悟があるかどうかがカギになるでしょう。
もし、本気で社会を変革したい、新しいビジネスで成功したいと思うのであれば、既存のスタートアップに乗っかるのではなく、あなた自身が起業する(そして神になる)ことも検討すべきなのかも知れません。
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