営業スキルこそが、どんな仕事にも不可欠のツールであるということ

ジョブ型採用などという言葉がにわかにもてはやされてきたのが、ここ数年の人事のトレンドです。

ジョブ型というと、財務とか技術とか特定職種の専門的スキルをイメージしてしまいがちですが、本当にそうなのかなと疑問に思えて仕方がありません。

仮に(正直言えば、日本企業にジョブ型が根付くとは考えていないのですが、ここは長いものに巻かれてみます)ジョブ型採用でスキルが評価されて仕事を始めたとします。最初の1~2年はいいでしょう。その後の仕事の広がりは、果たして専門的スキルだけで望めるのでしょうか。

就職するにしてもフリーで仕事をするにしても、基本的には人と人の関係性で成り立っています。ちょっと考えてみてください。あなたは嫌なヤツと仕事したいですか? 平気で人を裏切る人間を信用できますか? 一時的な小遣い稼ぎならともかく、永続的に生活を成り立たせようとするならば、仕事は特定の専門スキルだけで成立するものじゃありません。

たとえば、フリーランスが1日20万円の仕事にありついたとします。信頼を得られずに1回で終わったら、20万円の収入です。また新たに仕事を見つけなければなりません。一方で1日3万円の仕事を1年間続けられたら(土日を除いて計算すると)、年収600万円になります。その間、新しい仕事を探す必要はありません。

どんな仕事をするにしても、継続的であることには大きな経済的な意味があるのです。

営業とは「収入に繋がる仕事を得ること」という定義がされているかと思います。つまり営業とは「売り込むこと」と捉えてしまうものですが、それは一側面を捉えたに過ぎません。「嫌われないこと、信頼を得ること」というもうひとつの営業力が継続性を担保するのです。

この営業スキルは対外的な営業活動だけでなく、組織の内部においても重要になります。自分の部署の同僚、あるいは他部署との信頼関係ができなかったらどうでしょう。自分のスキルを生かし、さらにそれを伸ばす経験を積むだけの重要な仕事を任されるでしょうか。多少なりとも社会人経験があれば、「それはないだろう」ということを肌身でご存じのはずです。

人に好かれること、信頼してもらうといった能力は定量化が非常に難しく、そのため意識されないのだろうと思われます。

ワタシの周囲には、フリーランスで働く人が数多く居ます。当たり前ですが、人によって仕事の多寡はさまざまです。では、その違いはどこから出てくるのか。経験的にいえば、仕事のスキルは「まぁそこそこできる」で十分です。決め手となっているのは人柄です。

仕事の上での人柄とは何かを分析すると

・まず相手の話を傾聴する

・挨拶、お礼、お詫びがきちんとできる

・時間を守る

・身だしなみに気を配っている

・悪口を言わない

なんだか小学生に言うようなことですが、仕事だってこんなことで決まっています。これが広義の「営業スキル」の本質的部分です。逆にいうと、できる小学生にも劣っている大人が結構いるものです。

一般的なビジネスだけではありません。究極の専門職といえる弁護士を例にとってみても、弁護士余剰の時代となって、新司法試験組の年収は7割以上が750万円未満で200万円未満という人も1割前後存在するのです(「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」2020日本弁護士連合会)。看板掲げていただけで収入に繋がる、そんな時代ではありません。医師や大学教員だって、ステップアップをする、研究を進めるための環境作りのためには、この広義の営業スキルが必要なはずです。友人関係、ご近所付き合い、趣味の集まりなどでもまったく同じです。

一般に転職関係者の間では、営業職としての経験は高く評価されない傾向があります。それを知ってか知らずか、就活の学生の間でも営業職は敬遠される傾向にあると聞きます。

とんでもない見当違いです。営業スキルは評価がしにくいのでスルーされているだけです。

良い製品、サービスを作ったところで売れない限りビジネスは成立しません。だれがそれを売ってくるというのでしょうか? だれがマネタイズするというのでしょうか? 営業スキルは、経済社会との関わりにおいては絶対不可欠の能力であると言っても過言ではないこと、なんとなくお分かりいただけるかと思います。

人生100年時代をたくましく生きぬくために、普段の自分を「営業スキル」の視点で見直してみるのは決して無駄ではありません。

あなたは普段から、時間を守れていますか? 挨拶ができていますか?

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