せめて、旅のプランでも立ててみよう Vol.2【熊野町/三原~竹原/イスラエル/私の帰る場所】

疲れたとき、落ち込んだとき、そして迷ったとき。癒やしてくれるのは、旅であり、自分だけの帰る場所かも知れません。それはすなわち、エトランゼにとって新しい発見の場所でもあるのです。

熊野町【広島県】

熊野町は、四方を山に囲まれた盆地の中にあります。子供の頃、山で切り取られた空を見上げ、蛙の声を聞きながら、ここではないどこかで自分が好きなことをやりたいと思っていました。その劣等感と渇望感は何年か前にこんな言葉を知り、納得に変わりました。「井の中の蛙、大海を知らず。されど空の青さを知る。」

熊野町は、筆の都です。小さな時から書道や絵のコンクールに参加させられたなあ。描く道具に囲まれて、なにもない田舎だったので、その分なにかをいつも考えていた気がします。

熊野町は、筆の都です。昔は多くの家庭で筆づくりの内職をしていました。私の両親も筆の内職で私を育ててくれました。ずっと家の中でモノを作る工程を見てきたと思います。夕方、心地よい風が吹いてきたときに母は晩御飯の支度を始めます。家族の食事が終わると工場から帰った父と仕事場に向かい夜遅くまで夜なべをします。

熊野町は、ここだけではありません。日本神話の中で、あの世とこの世を結ぶ聖なる地を熊野と呼ぶそうで、東京の板橋区に熊野町の交差点があってびっくりしました。熊野古道も、アイヌにとっての熊は神様の使いという話もつながってくる。熊が出るほどの山奥の田舎、ではありません。自分の故郷を想う旅はどこでもできます。自分の生まれ育った記憶を思い出してください。きっと今の自分を作ってくれたものに出会えるはず。あの時の自分の世界に、成長した自分が会いに行く。ちょっとドキドキしてきませんか。

もし、この町に訪れたら、空を見上げて筆で(なければ指で)あなたの夢を空に書いてみてください。あの世とこの世をつなぐ場所ゆえに何かがかなうかもしれません。私の夢はかないましたよ。

熊野町>まちの施設・観光
https://www.town.kumano.hiroshima.jp/www/genre/1000000000434/index.html

(桐木 淳二 1985年総合科学部卒)

三原~竹原【広島県】

三原で生まれ育ち、西条で学生時代を送った私は、JR中央線の車窓から見える、海も山もない景色にそわそわし続けて、もう10年以上経過する。「多島美」と表現される瀬戸内海の景色が体の隅々まで染みついているのだ。凪でキラキラ光る海面、海越しに見えるたくさんの島々。泣きたくなるぐらい美しい風景だ。

JR山陽本線に乗り、三原~尾道間、窓際の席を陣取るだけで十分に堪能することができる。あちこちを巡るには、広島空港でレンタカーを借りてのドライブもおススメ。30分もすれば市街地に到着できて便利。

毎年2月に開催される、伊勢神宮を祀る祭り「神明祭」では、日本一の大きさといわれるダルマが飾られ、多くの人でにぎわう。

春を告げる「神明祭」-三原市‐

お隣の竹原市、忠海港からフェリーに乗り、「ウサギの島」と呼ばれる大久野島にいくのもオツ。900羽以上のウサギが出迎えてくれ、カワイイものが大好きな女子ウケしそうと思いきや、いつまでもなでなでされてくれるうさぎのぬくもりに、愛されたい願望ありの男性もハマる可能性大。

広大生的には、伝説のオリキャンの地としても有名。

ともしび -竹原市‐

三原観光navi
http://www.mihara-kankou.com/

休暇村 大久野島
https://www.qkamura.or.jp/ohkuno/

(北池ゆかり 1998年文学部卒)

イスラエル【番外編】

今年3月に旅行する予定だったイスラエル。新型コロナが収束したら、真っ先に行きたい!

おすすめのポイント

(1)今年3月就航予定だった直行便なら約12時間で行ける(ニューヨークと同程度)。
(2)日本人なら観光3か月までビザなしでOK。
(3)見どころ満載。食べ物もおいしい。
 食べ物魚料理も多く、アジアっぽい料理もある。オリーブとチーズも超おいしい。
(4)おすすめの時期:春3月ごろ。花が一斉に咲く。5月~9月は暑すぎる。

おもな見どころ

エルサレム:
ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地。旧市街の地下にはイエス時代の神殿の発掘作業中。見学もできる。ホロコースト記念館、イスラエル博物館で歴史や文化も学べる。

死海周辺:
泥パックしながら死海で浮いて本を読む。近くには死海写本が見つかったクムラン遺跡もある。乾燥地帯。

ガリラヤ湖周辺:
イエスキリストの活動拠点があった。北部の緑豊かな地帯。その他:数々の遺跡。

イスラエル博物館にあるヘロデ時代(イエスの時代)のエルサレムの模型

死海写本が発見されたクムラン遺跡

ガリラヤ湖の朝

現在のエルサレムの街(金色の屋根がイスラム教の岩のドーム)

ニュースでしか知らないイスラエルに行ってみませんか?

日本イスラエル親善協会
https://japan-israel-friendship.or.jp/link/

(浦川美代子 1986年総合科学部卒)

私の帰る場所【特別寄稿】

今年の夏は(も)、海外に行く予定だったが、コロナの影響で行けなくなって、実家に帰ることにした。海外に行かない夏というのは、多分7年ぶりぐらいだと思う。
二十代の自由な時期にこの状況になってしまったのは悔やんでも悔やみ切れないが、その状況下で全力を尽くしたいと切に思う。

母は、いつも実家に帰った時は、私のルーティンを揃えてくれている。私のルーティンとは、低脂肪ではない牛乳、ヨーグルト、バナナ、納豆だ。唯一実家にない私のルーティンの青汁は、帰る日数分持って帰るようにしている。 

習慣にしているランニングは、帰省時も無理の無い範囲で行うが、母が自転車で伴走してくれる。1人で走る何十倍も楽しい。

高砂市

高校を卒業して大学で一人暮らしをして以来、年に1回、多くて2回しか実家には帰っていなかった。帰れない特別な理由があるわけではなく、離れていても日本国内であるし、その気になれば三連休でも四連休でもあれば帰ることはできる。大学生の時は、その気になればもっと連休は作れたはず。

社会人3年目となる去年ぐらいから、以前よりも高頻度で実家に帰るようになった。大学生になってすぐは、まだ青臭かったのかな、親元離れて生活してる自分頑張ってる、すごいでしょ、何かそんな風に威張る?自分がいたのかもしれない。意識的に両親とあまり連絡を取らないようにしていたのかもしれない。

その頃は、わざわざお金と時間をかけて地元に帰るぐらいなら、同じお金と時間を使って別の場所に行きたいとも思っていた。

社会人になってから、学生時代よりも物理的に実家からより遠い距離になったのもあって、より両親と連絡を取るようになった。今日こんなご飯を作った。月曜日、気が進まないけど、何とか頑張る。コミュニケーションというより、単なる日記かもしれない。

播磨町

社会人になってから、よく泣くようになったと母に言われた。自分でも自覚はあって、頻繁に泣いている。悲しいことが増えたわけではなくて、大学生の時もそんな楽には暮らしていなかったから、悲しいことは沢山あった。社会人になってから、涙腺が弱くなって、悲しい時はもちろんだが、嬉しいとき、幸せなとき、全部感度が高くなって、泣くようになった。実家に帰って母がご飯を用意してくれていた時も、ああなんて平和で恵まれていて愛されているんだと泣く。そのぐらいの感度。

辛い時に私は辛いと正直に打ち明けられる家族がいることは、本当に心の支えになっている。

年々、自分が年齢を重ねていって、親も歳をとる。当たり前だが、それが何か怖くて、いつでも簡単にこの現実が壊れてしまいそうな気がして、少なくとも自分が自由に動ける時、会える時には会っておきたい、家に帰りたいと強く思うようになった。祖父母に対してもそう。近くにいる従兄弟よりも余程祖父母に会いに行っている。

私の周りには、様々な事情があり、特定の帰る場所を持っていない人もいる。子供の独立と同時に、実家が無くなったという人もいる。私には、故郷に帰れば家族がいるという場所がある。それって当たり前ではなくて、幸せなことだと知った。

何をするわけでもなく、故郷に帰って顔を見せる。親になったことはないので親の気持ちは分からないが、両親はそれが嬉しいと言ってくれる。近くで働かなくていい、地元に残らなくていい。自分の人生は自分で決めて切り開いて欲しい。自分たちが経験してこなかったもっと広い世界を知ってほしい。私たち両親は遠くからでもそれを見守りたい。それが両親にとっての幸せだと言っていた。

実家では、昔使っていた物がそのまま今も使われている。
まだこれを使っているのかと懐かしむと同時に、両親は、子育てを優先し、自分のためにお金も時間も使うことができなかったんだなと感じる。今も帰った時は一緒に外に遊びに行くが、両親は、遊んでもらっているのは私たちだと言う。

加古川市

この夏は帰省をやめた人も多いと思うが、離れていても、故郷や家族を思いやる気持ちはどこまででも届くものだと感じた。

(寺坂絵里 2017年総合科学部卒)

Photo by 仁科勝介(経済学部2020年卒)
仁科さんの日本市町村一周の旅の写真はこちらからご覧いただけます
「ふるさとの手帖」

(イスラエル:浦川美代子)

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