支援を受けた学生のご紹介

Vol.23 STARTプログラム「エジプト」

名前: 加藤 彰悟

所属: 教育学部第一類初等教育教員養成コース 2年

広島大学基金より、STARTプログラムへ参加。
 

※START: Study Tour Abroad for Realization and Transformation
海外経験の少ない学部生が海外の大学を訪問し、現地学生との交流や日本と異なる文化・環境を体験することで、国際交流や留学への関心を高めることを目的としたプログラムです。長期休暇中の実施と、参加費用の一部を広島大学基金からの補助により、より多くの学生が留学する可能性を広げます。

私は、広島大学基金よりご支援いただいた、広島大学の「第78回STARTプログラム エジプト」に参加させていただきました。

海外に行くこと自体が初めてな私にとって、エジプトで過ごす時間の一瞬一瞬が新鮮なものでした。

エジプト日本科学技術大学(E-JUST)について

アレキサンドリアでは、エジプト日本科学技術大学(E-JUST: Egypt-Japan University of Science and Technology)を訪問しました。大学の広さ、美しさに圧倒されたのを今でも覚えています。この大学は、エジプトと日本政府の間の二国間協定プロジェクトとして設立され、広島大学とも大学間協定を結んでいます。

私たちはここで、Culture, SDGs, Heritage, Architecture, Food securityといった幅広い分野における講義を受けました。実際に研究室を見せていただいたり、学生の話を聞くことで、大学の研究力、教育力の高さに圧倒されました。また、エジプトと日本の違いや、それぞれの課題について、様々な視点から見つめることができました。

エジプト日本科学技術大学の構内

講義の様子

アレキサンドリア視察

エジプト第2の都市、アレキサンドリアはヘレニズム文化の中心都市として大きく発展しました。それにより今もなおギリシャ・ローマ時代の名残があります。

私たちは、アレキサンドリアの名所である、ローマ円形劇場(Roman Theatre), カーイトベイの要塞(Qaitbay Citadel), アレキサンドリア図書館(Bibliotheca Alexandria), セラペウム*(Serapeum of Alexandria)に足を運びました。

日本では見ることのできない景色が広がっており、それぞれの場所に歴史的背景があり、エジプトの歴史に思いを馳せることができました。
現地の人たちが私たちにたくさん声をかけてくれ、現地の人の温かさと気さくな人柄を感じました。
また、伝統的な料理である「コシャリ」をみんなで作って食べました!

 

*セラペウム: 聖牛の埋葬地

エジプトで唯一のローマ円形劇場

カーイトベイの要塞

「地中海の真珠」と言われるアレキサンドリア

エジプトの国民食 コシャリ

カイロ視察

カイロでは、エジプト考古学博物館(The Museum of Egyptian Antiquities), ハンハリーリ市場(Khan Al-Khalili Market), ギザのピラミッド(Pyramids in Giza), アインシャムス大学(Ain Shams University), ファイユーム砂漠(Faiyum desert), 通称クジラ谷と呼ばれるワディ アル ヒタン(Wadi Al-Hitan "Whales Valley"), ワディ エル ラヤン滝(Wadi El Rayan Waterfalls), 化石と気候変動の博物館(Fossil & Climate Change Museum)を訪れました。

特筆すべきは、やはりピラミッドです。一生のうちにピラミッドを生で見ることができるとは思ってもいませんでした。教科書や本、テレビなどで何度も見てきた景色が広がっていることに圧倒されるとともに、感動しました。

興味深かったのは、ハンハリーリマーケットです。お土産や服などを購入できる市場のような場所だったのですが、外国人慣れをしているのか、「こんにちは」「安い」「トヨタ」などと、日本語で話しかけてくる人もいて驚きました。また、値引き交渉にもチャレンジしました。最初は戸惑いましたが、同じ商品でも値段がかなり変わることに面白さを感じました。

また、砂漠もかなり印象的でした。砂漠の上をそりで滑ったり、バギーで走ったりしました。ドラマでしか見たことのないような世界が広がっていました。

ギザのピラミッド

ピラミッドをバックに

ハンハリーリ市場

独立行政法人 国際協力機構(JICA)・エジプト日本学校(EJS)訪問について

カイロでのプログラムの一環として、JICA・EJSを訪問したのですが、私にとってかなり大きな経験となりました。

まず、JICAエジプト事務所を訪問し、教育や医療など様々な面からのお話を聞かせていただきました。人と人、国と国が支え合う国際協力の素晴らしさを実感しました。

次に、エジプト日本学校 (EJS: Egypt-Japan School)の訪問についてです。EJSは、日本式の教育を導入しているエジプトの公立学校です。私たちは、渡航前、本プログラムの中で関心のあるテーマを選び、事前学習と現地での学習の後に、最終発表することになっていました。私は、関心があった「エジプトの教育」をテーマとして発表しました。

EJSは、日本の「特別活動」に着目し、”Tokkatsu”として清掃を児童自ら行ったり、日直を取り入れたり、朝の会に取り組んだりしています。実際に、統計的にも子どもたちの協調性が向上したなど、良い影響が表れているとのことでした。日本の教育が他国の教育に良い影響を与えていることを知り、教育を学ぶ者として非常に嬉しくなりました。また、外国の教育や国際協力に興味を持てたことも、私の将来の学習やキャリアにおいて大きいものになるのではないかと思います。

JICAエジプト事務所

EJSにて

現地学生との交流・日本大使館訪問

今回のプログラムでは、現地の学生との交流の機会が多くありました。特に、日本語を学んでいる学生とお話しする機会を持てたことが良かったです。「日本のアニメが好きだ」「いつか日本に行ってみたい」学ぶ理由は様々でしたが、こんなに離れている日本に大きな興味を抱いてくれていることがすごく嬉しかったです。私たちも、積極的にお話したり、日本の文化を紹介したりしました。

また、日本大使館を訪問し、岡大使をはじめ、様々な方から貴重な話を伺ったり、現地学生と一緒に書道に取り組んだりしました。

現地の学生との交流

現地学生がどんな文字を選ぶのかなと思ったら、「学友」「花」「美」「平和」でした。離れた国でも、心はつながっているのだなと実感しました。E-JUST、アインシャムス大学で出会ったすべての方々に感謝しています。

そして、E-JUSTで交流した2名が、10月から広島大学に留学しています。エジプトで出会った方々とまたお会いできる環境にあることが嬉しくてたまりません。この関係がこれからも続くことを祈っています。

寄付者へのお礼

エジプトで過ごした時間は、自分にとってかけがえのないものになりました。
ご寄付くださった方々、引率教員、職員の方々、現地での生活を支えてくださった皆様、一緒に参加した学生、すべての人に感謝しています。この貴重な経験をこれからに活かしていきたいと強く思います。ありがとうございました。Shukran!

広島大学でE-JUSTからの学生を迎えた時の写真
(真ん中列の一番左が加藤さんご本人)

 

(2023年11月取材/基金室)


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