支援を受けた学生のご紹介

Vol.8 「共生社会を子どもと一緒につくる」教師を目指して~フェニックス奨学金が学びの後押しに~

名前:益田 天喜

所属:教育学部 第一類 初等教育教員養成コース 4年

小学校の先生を目指し、初等教育の最先端を行く広島大学を志望

私は山口県出身で、広島県には修学旅行や友達と遠出する際によく訪れていました。その際に、広島の街並みや特産物に強く惹かれ、いつしか同じ中国地方に住むものとして憧れを抱くようになりました。私自身、中学生3年生の時から毎年オープンキャンパスの度に広島大学に足を運んでおり、「将来この大学で学べたらいいなぁ」と思っていました。

高校3年生の進路を選択する時に、担任の先生から「小学校の先生を目指すなら、元々師範学校で初等教育の最先端を行く広島大学がおすすめだよ」と言われたことがきっかけで、「広島大学で学びたい」という思いが強くなり、第1志望校として広島大学教育学部を目指すようになりました。

フェニックス奨学金のおかげで学業と本当にやりたいことに専念

私は4人兄妹の長男で、1歳下の弟は重度の障害を持っています。
広島大学に行きたい気持ちは強かったのですが、私が県外の大学に進学することにより、障害のある弟と2人の妹を育てている両親に経済的な負担をかけてしまうのではないかと、進学についてはとても悩みました。

そのように迷っていた高校3年生の時に「広島大学フェニックス奨学金制度」のことを知りました。入学金と授業料が免除、さらに毎月奨学金を給付されるという手厚い制度が、憧れの広島大学にあると聞いた時は大いに喜び、進学意欲がさらに高まったのを覚えています。

フェニックス奨学金のおかげで、両親の心配の種だった「学費のためアルバイトに専念してしまうのではないか」という問題は起こらずに、学生の本分である学業に専念できました。このことは、私の学生生活にとって非常に大きかったように感じます。アルバイトに多くの時間を割かずに済んだだけでなく、アルバイトを選ぶ際にも収入面よりも自分がやってみたいこと、身につけたいことを中心に選ぶことができました。

また、学期毎に行われる学業成績の査定は、大学での学習意欲を高いレベルで維持しようというプレッシャーにもなり、おかげで高い教養と専門性を身につけられたと感じています。

附属小学校での実りある教育実習

私は大学3年生のときに広島大学附属東雲小学校で教育実習を受けました。その際に、今まで大学で得た初等教育や小学生に関する知識や指導力を実際の教育現場で発揮することの難しさを痛感しました。

授業が想定より進まなかったり、全員に平等に指導できなかったりとたくさんの壁にぶつかり、その都度、仲間や担任の先生の力を借りて乗り越えてきました。実際の教育現場で1ヶ月間、共に学び共に遊んだことで、初等教育に関して単に知識理解に終わることなく、具体な場面をより鮮明に想定しながら、教員として必要な資質・能力を身につけることができました。

また、国語、算数、理科、社会、道徳の5教科の授業と様々な場面での生徒指導を経て、教育者としての自分の成長を実感することができ、自信に繋がりました。
この教育実習を通して、私の中で「地元の山口県でならどんな授業や活動ができるだろう、地元で小学校教員になりたい!」という思いが強くなりました。目標が定まったことで、大学での学習がより一層充実したものに感じられるようになりました。

「子どもと一緒に共生社会をつくる」小学校教員になる

小学校教員になりたいと思う反面、障害のある弟との生活の中で得た経験や知識を人のために使えたらと、特別支援学校や障害者施設など障害を持った子どもやその家族と関われる仕事にも就きたいと思っていました。

大学3年生の進路相談でゼミの先生にそのことを相談したところ、「障害者と関わる仕事は多くの人がやっているけど、障害者と関わることの大切さや難しさを小学生に身をもって教えられる教師は少ないと思う」と言われ、それ以来、これからの共生社会を子どもと一緒につくっていく教師を目指すようになりました。

具体的には、今の小学生が偏見を抱くことなく具体的なイメージを持って障害について考えるために、「教師としてできることは何か」、「障害者を家族に持つ大人としてできることは何か」をテーマに卒業研究に取り組んでいます。しかし今の段階では、まだ明確な答えが見つけられていません。
そのため、広島大学を卒業した後は広島大学大学院への進学を志望し、仲間や現職の先生とともに学ぶことで、より一層教養と専門性、自身の研究内容を深め、理想の教師像の実現を目指したいです。

いろいろな場面で私の背中を押してくれる「広島大学フェニックス奨学金制度」

家庭の事情で大学進学を悩んでいた私が、4年間金銭面で悩まされることなく、学業に専念できたこと、また充実した学生生活を送ることができたのは、フェニックス奨学金のおかげです。
学業に専念できる環境をいただき、自由に夢を追わせていただいたことを心から感謝しています。

また、大学4年生になった今でも学びたいことは尽きず、大学院に進学し、それらに取り組みたいと思います。
そこで、引き続きフェニックス奨学金制度と関係者の方々の力をお借りしながら学びを深められたら幸いです。

私が小学校教員として社会に出た際には、少しずつ恩を返せていけたらと思います。

 

(2022年8月取材/基金室)


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