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「親子ぱんだ塾」を運営する氏間ゼミのみなさん
学習に困難さのある児童・生徒へのオンライン支援で、私たちも成長
広島大学大学院人間社会科学研究科附属 特別支援教育実践センターでは、25年前から発達障害や弱視等で学びにくさのある小中高校生への学習支援を行ってきました。
新型コロナウイルス感染拡大のなかでも支援を絶やさぬようオンライン支援に切り替えた同センターの氏間和仁准教授らの活動を引継ぎ学生主体での運営という新たな体制でスタートした 「親子ぱんだ塾」について、運営学生を代表して、同研究科 教師教育デザイン学プログラム 特別支援教育学領域 所属の尾原健太さん(博士課程前期)にメールでお話を伺いました。
「親子ぱんだ塾」と学生の皆さんとのかかわりについて教えてください
これまで、氏間先生らが児童・生徒や保護者の方向けに対面での相談を行ってきましたが、新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年夏ごろから、オンライン支援に切りかえたのが、 「親子ぱんだ塾」の始まりです。その様子を見ていた学生たちから 「自分達で運営してみよう」という意見が出て、12月には学生主体のオンライン教育相談 「親子ぱんだ塾」がスタートしました。
利用者のからも好評で、 「対面が始まってもオンラインでも教育相談も続けて欲しい」という要望があったほか、感覚過敏などがあるお子さんの場合自宅からオンラインで学習をする方が学びやすいという意見もあり、 「親子ぱんだ塾」を一時的なものではなく、発展したプログラムにしていこうということになり、現在に至ります。
活動のメンバーの構成や具体的な内容を教えてください
メンバーは特別支援教育を学ぶ学生・大学院生で構成されていて、多くの学生が教員を志望しています。
現在は、月に1回 「親子ぱんだ塾」 「ぱんだ数学塾」を、月に2回 「ぱんだ英語塾」をオンラインで実施しています。発達障害や弱視等で学びにくさのある児童・生徒の中には、読み書きや思考、情報管理にタブレットなどのICT機器の活用が有効な場合がありますが、そのような視点での使い方をレクチャーする施設は全国的にまだ少ないのが実情です。 「親子ぱんだ塾」については、iPadのアプリを学習場面でどのように使うのかをテーマ別のワークショップに分かれて勉強し、 「ぱんだ数学塾・ぱんだ英語塾」は教科学習を通してICTを効果的に活用する方法を児童・生徒が学習していくことができます。
オンラインでの学習支援をするにあたり、工夫したところは
機材については、研究室のものを使用することができたのである程度充実しているのですが、いかにわかりやすく利用者に伝えるかを模索していますね。こちらがタブレットに書き込む様子を、専用のソフトでパソコンの画面に写すなど、日々工夫をしています。
また、オンラインの場合、相手の反応がわかりにくいことがあります。そこで、Zoomの反応ボタンやチャット機能を活用することで、互いにコミュニケーションをとるといった工夫もしています。また、説明中にも、今何を行っている時間なのかを示すカードを画面の端に提示するなどして活動内容を視覚的にわかりやすくするといった取り組みも行っています。
利用者の募集についても、Facebookを活用するなどしたおかげか、広島県だけでなく全国各地から毎回参加していただいています。
参加している児童・生徒たちの反応はどうですか
「オンラインだからリラックスして活動できる」といった意見があり、 「オンライン=対面の代わり」ではなく、オンラインだからこそ学びやすい児童・生徒も多くいるのだと強く感じています。子供たちが一番慣れている環境(自宅)で学ぶことは、よい影響があるのだというのは、新たな発見でした。
「親子ぱんだ塾」は学生の皆さんにも変化をもたらしたのでしょうか コロナ禍においても活動を続ける理由は何ですか
上記で述べたようなオンラインでのメリットは、利用者だけでなく、教える側にも多くあるということに気づくことができたのは、私たち学生にとっても大きな成果でした。例えば、私たちのうち、視覚障害がある学生が授業を行う場合、オンラインだと自分にあった機材を使いながら教えることができるため、対面よりも指導が行いやすくなったという意見がありました。また、オンラインの教育相談を通して学生が身につけることのできる力(機材の使い方や、わかりやすい説明の仕方)があることを考えると、コロナ禍にかぎらず、こうした活動を行なっていくことは、学生自身の経験としても非常に重要だと感じています。
今後の皆さんの活動についても教えてください
コロナが終息して、これまでと同じような活動ができるようになってからもオンラインでの学習支援は続けていきたいと考えています。その時には、現在も少しずつ実施はしているのですが、対面とオンラインを併用した集団での学習支援を行い、学ぶ場所に囚われない活動ができるようにしていきたいと考えています。
これからも、利用者の皆さんのニーズを聞いてより良い活動に発展していけたらと考えております。
私個人の話ではありますが、この活動を通じて得たノウハウを生かして、将来、オンラインでの学習支援の会社を起業したいと考えるようになりました。従来の塾や家庭教師では学びづらい児童・生徒の選択肢の一つになるような活動を行なっていきたいと考えています。
(2021年7月取材/広報グループM)
広島大学広報グループ