皮膚科外来
TEL:082-257-5478
受付時間 月曜日~金曜日(祝祭日を除く) 8:30~16:30
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メラノーマ治療センターについて
メラノーマ(悪性黒色腫)は、皮膚の色素をつくるメラノサイトが悪性化したもので、日本人では足の裏や爪に生じやすいがんです。その他の部位の皮膚にも生じることもあり、眼(結膜、脈絡膜)、口腔粘膜、鼻粘膜、泌尿生殖器などにも生じることがあります。近年、メラノーマに対する抗癌剤である免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬の開発により、予後は飛躍的に改善していますが、まだ多くの課題が残されており、高度な医療を提供するためには診療科を超えた連携が重要です。専門分野の異なる医療従事者が集まり、各々の専門知識と臨床技量を集結し、協力して診療をすること、メラノーマ診療に関わる医師及び歯科医師、看護師等の育成することを目的としてメラノーマ治療センターを開設しました。
これってメラノーマ?
皮膚や粘膜にできもの・黒いしみができた場合、これは良性のほくろなのか、それともメラノーマなのか不安になると思います。例外はありますが、良性のイメージは「規則正しい」、悪性のイメージは「不規則」です。以下の「ひふをまもる」をキーワードにチェックしてみてください。
ひ:非対称(できものの形が非対称、不整形)
ふ:不明瞭(できものの境界が不明瞭)
を(お):大きさ(6mm以上の大きさ)
ま:まだら(できものの色が均一ではない)
も:盛り上がり
る:しる(汁が出ている)
これらに該当するできもの・黒いしみが必ず悪性というわけではありませんが、いくつかの項目に該当する場合は、それが生じた部位の専門である皮膚科や眼科、歯科などを受診ください。
メラノーマの診断
メラノーマは見た目やダーモスコープという拡大鏡で明らかに診断できる場合もありますが、組織検査をして確定診断を行い、腫瘍の厚さを確認します。確定診断に至れば、リンパ節や内臓に転移がないかどうかをCTやPET-CTで確認します。
メラノーマの治療
手術
腫瘍の厚さにより腫瘍から5mm~20mm離して切除します。切除した部位は皮膚移植などで傷を覆います。腫瘍が表皮よりも深部の真皮に及んでいる場合、リンパ節に関してはCTなどで腫れていないことがわかっていても手術の際に代表的なリンパ節を摘出し、組織学的に転移がないかどうかを確認します。これをセンチネルリンパ節生検といいます。
リンパ節に転移があった場合は、そのリンパ節があった部位の他のリンパ節群を広範囲に摘出するリンパ節郭清術という手術を行うことがありますが、リンパ節郭清術を行わず抗癌剤治療を行うこともあります。
放射線治療
メラノーマは放射線治療が効きにくい腫瘍です。手術ができない場合、抗癌剤の効果が乏しい場合、脳に転移した場合、転移した部位が痛む場合などには放射線治療を行うことがあります。先進医療である陽子線、重粒子線での治療が効果を示すことがあります。
抗癌剤
抗癌剤は術後補助療法として行う場合と、メラノーマが進行して手術が不可能な場合に行う場合があります。術後補助療法は、ある程度進行した患者さんにおいて手術で腫瘍を切除した後に1年間抗癌剤治療を行い、再発・術後の転移の予防を図ります。一方、すでに転移が多発している場合など手術が不可能な場合には継続できる限り抗癌剤治療を継続します。外来通院でできる治療もあります。
抗癌剤には以下のようなものがあり、患者さんの状態により選択します。
- 免疫チェックポイント阻害薬
がん細胞は免疫から逃れようと免疫細胞にブレーキをかける仕組みを持っています。そのブレーキを解除して、体内にもともとある免疫細胞を活用する作用のある薬です。大腸炎、肝障害、ホルモン異常など副作用は多岐にわたります。治療を止めても回復しない副作用もあるので注意が必要です。
- 分子標的治療薬(BRAF/MEK阻害薬)
腫瘍細胞にBRAFという遺伝子に変異があった場合には分子標的治療薬での治療ができます。BRAF蛋白質とMEK蛋白質はがん細胞増殖の信号をコントロールしていますが、BRAF遺伝子変異によって必要以上に活性化します。BRAF/MEK阻害薬は増殖の信号をブロックすることでがん細胞の増殖を抑制する薬です。発熱、眼症状、肝障害などが副作用として挙げられます。
- インターフェロン製剤
インターフェロンはもともと人の身体の中に存在する物質です。免疫やがんそのものに作用し、一部のがんの増殖を抑制することがあります。腫瘍の周囲に注射をしますが、注射時に痛みがあります。特殊な肺炎、精神症状などが生じることがあります。
- 化学療法(アルキル化剤)
DNAを複製する過程で特定の蛋白質に結合し、がん細胞の細胞分裂を阻害します。吐き気、骨髄抑制(血液細胞へのダメージ)などが副作用として挙げられます。
医療機関の方へ
メラノーマ治療センターでは現時点で以下のように皮膚科への紹介枠を設けております。病診連携室を通してご紹介ください。皮膚以外のメラノーマが疑われる場合もしくはメラノーマと診断した場合は、発生した部位の専門の診療科にご紹介いただき、治療方針が難しい症例は多職種が参加する当院のカンファレンスで検討いたします。全身治療が必要な場合は該当科から皮膚科やがん化学療法科をご紹介いただき、連携して治療をしていくことになります。専門の診療科での経過観察が必要なく、全身治療のみが対象となる患者さん(肺病変の切除後や原発不明の場合など)に関しては以下の皮膚科のメラノーマ枠へご紹介いただいても構いません。
<皮膚科メラノーマ紹介枠> ※地域連携室を通してご紹介ください
地域連携室の連絡先
外来初診患者さんの紹介についてのページをご確認ください
メラノーマ治療センター スタッフ
センター長 田中暁生(皮膚科)
副センター長 菅 崇暢(皮膚科)
スタッフ 水野隼登(皮膚科)
松原大樹(皮膚科)
小泉浩一(顎・口腔外科)
内田ゆかり(皮膚科外来看護師)
松浦 麗(皮膚科クラーク)
メラノーマ治療センター連携施設
県立広島病院皮膚科
安佐市民病院皮膚科
JA尾道総合病院皮膚科
東広島医療センター皮膚科
マツダ病院皮膚科
JR広島病院皮膚科
庄原赤十字病院皮膚科
※これ以外の施設とも連携可能です