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・個人や大学の誹謗中傷記事
・人権侵害や名誉棄損にかかわるもの
・Hateスピーチ
・品位の劣るもの
・その他常識的に不適切と思われるもの
(2018.1制定)
何を今さら、って話ですが、人生は長い。還暦過ぎのワタシにも、バブルの熱狂と凄まじいばかりの景気崩壊、ほんの2週間後に東北に行く予定があった東日本大震災。インターネットとスマホ登場とそれによる社会の大変貌に巻き込まれ、あの日あの時間、何度も地下鉄に乗っていた地下鉄サリン事件、尿管結石でのたうち回ったこととか空き巣に入られたこととか、そりゃいろいろありました。
だれにも長い人生では激動に直面するものだと分かります。そんな時代を生きた証として、激動をチャンスとして、世の中に何らかの爪痕を残すことを目標にできれば、毎日が充実するものになるのではないかと思うようになりました。
さて、どうするか。
天才はいかにして天才たり得たか、そんな研究があります(『才能の科学』マシュー・サイド著 2022年)。この書が教えることは、モーツアルトもダ・ヴィンチも、ニュートンもエジソンもピカソも、じつは生まれながらにして天才ではなかった。むしろ凡庸な部類の人間も多かったのですが、その後の生き方で天才と呼ばれるようになります。つまり、天才に「なった」のです。
興味深いのは、その生き方に共通点があったってことです。1万時間の取り組みです。Genius is 1 percent inspiration and 99 percent perspirationとは、有名なエジソンの名言ですが、この99%の努力の中身とは、一つのことをやり続ける努力と気づきます。この箴言の通り、どんな天才も1万時間の訓練とフィードバックを続けた下積みがあります。その土壌があったからこそ、ひらめきが降りてきて、世界を変える業績を残すことができたのです。特定のことに優れた技能、生まれながらにしての才能も少しは持ち合わせていたでしょうけど、それは歴史に埋もれた無数の才人も同じです。迷うことなく一つのことに没頭し続ける、その胆力こそが天才の本質です。
考えてみてください。1万時間映画を観るとしたら、5000本になります。そりゃ、優れた映画評論家になれますよね。1万時間走るとしたら、フルマラソンを5時間ってすごくゆっくりのペースですが、それでも2000回走ったことになります。その頃には国体選手くらいにはなれています。1万時間かけて語学を学んだら、5カ国語程度はネイティブレベルになるでしょう。1日15時間、2年間とことん勉強すれば、本郷にあるあの大学や医学部に入り直すことだってできるはずです。
ワタシの知り合いにも、います。彼は麻雀が好きすぎて、大学時代、寝ても覚めても麻雀を打ち続けます。仮に1日10時間として、四年間で1万時間を超えることになりますが、彼は真顔で「それくらいはやっていた」といいます。どうなったかというと、今、麻雀プロとなり、何度も最高位を獲得しています。思いっきり爪痕が残せています。
問題は1日3時間で10年、1時間なら30年、取り組み甲斐がある何か、辛くても耐え続けられる何かを見つけられるかどうかです。配信動画を観るのも、コンピュータゲームにのめり込むのも、酒を飲むのでもいいのです。ただし、1万時間、とことんやり通すことができるかどうかを問い直しましょう。そうじゃなけりゃ、別の何かとの出会いを求めるのに時間を使うことです。
その何かとの出会えるかどうかは、偶然かも知れませんし、自然に見つかるものなのかも知れません。ただし、バットは振らなきゃボールに当たりません。常に意識をしていることが必要でしょう。
誰にでも公平に、使える時間は減っていくことだけは確かです。還暦過ぎのワタシは、若い世代の、現実的に1万時間を生み出すことができる時間的な余裕を狂おしいくらい嫉妬します。
「明日やろうは馬鹿野郎」、この稿をそう締めようとしてハタと気づきました。じつは年齢を言い訳にしつつ自分自身が1万時間へのトライから逃げようとしている。
慄然としました。
心を入れ替えて、今日から始めます。
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