学部長挨拶

持続可能な食料の生産と生物資源の活用に向けて

生物生産学部長
島田 昌之

生物生産学部は、「生物にかかわる生産≒実学」を学び、研究する学部です。つまり、「生物を科学する」という理学部生物学科の特徴と「生物系の実学」である農学の特徴を併せ持った学部といえます。そして、「生物にかかわる生産≒実学」の中でも「食」を中心に据え、食資源の生産とその環境、食品の加工、食による健康に焦点を当てた以下の5つの主専攻プログラムを設置しています。水圏統合科学プログラムは水生動植物と水圏環境、応用動植物科学プログラムは陸域の動植物、食品科学プログラムは食品の加工と食による健康、分子農学生命科学プログラムは食にかかわる先端的な生物・生命科学、国際生物生産学プログラムはグローバルな視点で生物生産学をそれぞれ学ぶプログラムとなっています。

上述の主専攻プログラムにおいて、最先端の生物学を学び、研究することを基盤として、それを実際の生産に展開できる即戦力人材の養成を目指しています。生物生産学部は、スマート農業の実験と実証試験ができる西日本最大級の大学附属農場、海洋を移動し、サンプル採取や各種実験が海上でできる練習船、瀬戸内海の里海で実習と研究ができる水産実験所、様々な食品加工を体験できる食品実習工場などを有しています。そして、学部生全員がこれらの充実した附属施設で実施される体験型実験実習を履修できるカリキュラムを構成しています。また、1年時の必修科目である教養ゼミにおいて、初年次インターンシップとして農業法人などで生産現場を体験してもらっています。

生物生産学部のカリキュラムの特徴として、学部2年生で主専攻プログラムを決定する点があります。学部生全員が履修する体験型実験実習や専門講義を通して、入学時に希望していた分野が自分に合っているか?あるいは、学びと体験を通して、入学時とは異なった専門分野を希望するか、を選択することで、学生が自身のキャリアプランを考え、積極的に自ら学ぶことができます。卒業生へのアンケートでも、大学で学んで体験した後で専門分野を決める本制度は高い評価を得ています。各主専攻プログラムには定員があるので、教養教育と基礎専門科目の成績が重要になりますが、ほとんどの学生が希望する主専攻プログラムで学んでいます。そして、食品関連企業や農業部門の公務員などへの高い就職率を達成しています。

生物生産学部を担当している教員は、各分野で世界的な評価が高い研究者で、大学院の統合生命科学研究科にも所属しています。生物生産学部の卒業生の約半数は大学院へと進学し、教員とともに世界最先端の研究活動を行っています。新聞やテレビに報道されている研究成果に加えて、多くの研究成果が世界的に評価の高い学術誌に掲載されています。保護者アンケートで、「どのような研究がおこなわれているか」知りたいという声を多数いただきました。そこで、研究者自身を紹介するページや研究成果をわかりやすく解説するページをwebサイトに公開しています。ぜひご覧ください。

生物生産学部は、2023年度入学生を対象とした新しい総合型学生選抜(光り輝き入試)をスタートさせます。これは、セミナーを受講して総合問題に答える「セミナー受講型」と高校で実施している(た)課題研究を発表し、質疑応答により評価する「課題研究評価型」です。前者は、大学の講義に近い内容のセミナーを受講して、これまで勉強してきた知識とセミナーを受講して得た知識を融合し、解答するもので、模擬セミナーと試験、その解説を動画でホームページに掲載しています。後者は、高校生が「総合的な探究の時間」などで実施してきた課題研究の成果を発表するものです。生物学的な研究を対象としたものではなく、生物生産学部の各主専攻プログラムを希望する受験生が実施した様々な課題研究が対象となります。このように生物生産学部では、アドミッションポリシーと高校の学習指導要領に対応した幅広い入学者選抜を行っています。

大学を取り巻く環境、期待されることは常に変わっています。一方、生物の生命現象や食にかかわる問題の多くは不変的です。生物生産学部では、入学者選抜方式、カリキュラム、求められる卒業生の資質(ディプロマポリシー)について、「生物にかかわる生産≒実学」を体験型学習で学ぶという根幹を変えず、しかし必要なところは時代の変化に合わせて変えていくことで、広島大学の掲げる「持続可能な発展を導く科学」として、SDGs(持続可能な開発目標)にも合致する食にかかわる分野に貢献し、そこで活躍する人材を養成していきます。


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