体験的中央線通勤サバイバルガイド

これは、通勤電車の中央線が止まりそうだけど止まらないのかもしれなくて、そのうち動きそうだけど動かないのかもしれなくて、どうすりゃええん私、状態に陥ったある冬の朝のワーママ(ワーキングママ)によるドキュメンタリーなのである。

8:17

東小金井駅ホーム。吊り革につかまるため、いつもどおり隣駅武蔵小金井始発の中央線快速電車に乗り込んだ瞬間、「新宿駅で信号確認のためしばらくお待ちください」のアナウンスが流れる。

だいたい中央線というものは、時刻どおりに動くと思って乗ってはいけない危険な乗り物だ。

朝の時間帯は2-3分に1本という驚異的なペースで電車がやってくるけれど、人身事故が多いのは有名すぎるし、雨の日は何人かの乗客の傘がドアに挟まってそのたびに遅れるし、混雑しすぎても遅れるし、混雑しすぎてイライラした人どおしのトラブルでも遅れるし、とにかく「はあ、たいぎぃ」とこぼしたくなる。

8:25

「信号確認のためしばらくお待ちください」のアナウンスが繰り返し車内に流れる。人身事故などで運休となれば、すぐに電車から降りる判断ができるのだけど、信号確認の場合は運転が再開されることがほとんどなので、とりあえず車内で待機している。

8:30

アナウンスが「復旧までかなり時間がかかります」に変わり、一旦隣の武蔵境駅まで電車が動いた。さすがにアホみたいに電車に乗ったままだと、取り返しのつかないアホになってしまうような気がして、ここでやっと焦る。

「中央線、新宿駅での信号機トラブルで上下線運転見合わせ中です。今のところ運転再開見込み未定、とのこと。とりあえず電車に乗ったままですが、オフィス着が遅れる可能性がありそうです。」

上司にチャットで一報を入れつつ、ベストな方法を考えてみる。

電車の運転再開を待つ

あまり出勤を急いでいないけど、オフィスに出勤する必要がある場合は、駅近くのカフェで待機してから運転再開を待つ。
改札のすぐ近くにマックがあるので、そこの席が確保できたらベスト。電車が再開したらアナウンスが聞こえるし、駅の混雑状況も目で見えるので、安心して時間を過ごすことができる。もたもたしていると、みんながカフェに殺到してカフェ難民になってしまうので決断は早めに。電車の運転が再開して、混雑が解消された頃に駅に向かう。

別経路で出勤する

この日はなるべく早めにオフィスに出勤したかったので、別経路での出勤を検討するのがよさそう。

ということで、

8:40

止まったままの電車から降りて、駅近くのロイホに席を陣取る。サバイバル能力が低いので、少し腰を落ち着ける場所で心を整えつつ、自分なりのペースで最善策をみつけたい。

ロイホに向かう途中、「隣の三鷹駅までバスで行って、動いている総武線に乗ろうと思う」と電話で話す人の声が漏れ聞こえてきた。それナイスじゃん、と思い、ロイホでバンホーテンのココアを飲みながらXの投稿を確認すると、中央線ユーザーが中央線と並行して走っている総武線の各駅に殺到して、総武線各駅が阿鼻叫喚と化している映像が拡散されていた。

だめじゃ、こりゃー駅に近づけそうにないわ、とスマホのGoogleマップでバスのルートを確認したところ、中央線より北寄りを走る西武新宿線の田無駅まで、バスで約15分ほどで行けそうなことが分かった。念のため、「田無駅」でXの投稿を確認してみたが、混雑している様子は見受けられず、そのルートを採用することに。西武新宿線は娘の習い事でたまに使うことのある路線だったので、なじみがあることも幸いだった。

9:00

Googleマップで調べた時間にバス停に向かうと、ちょうどいい具合に始発のバスがやってきて乗り込むことができた。これまたGoogleマップでオフィスまでのルートを検索したところ、次のルートが一番早そうだったので、ご指示のとおり乗り換えながらオフィスへ向かった。

田無→西武新宿線 高田馬場→東京メトロ東西線 大手町→都営三田線 内幸町

実は「西武新宿線」というぐらいだから、新宿駅まで行かないといけないと勝手に思っていたのだが、高田馬場で東西線に乗ればいいというのは大発見だった。新宿駅は世界一の乗降者数というだけあって、とにかくめまいがするほど人が多いし、自分の行きたい方向に歩くことすら困難。乗り換えルートで新宿を推奨されても、どうにかして回避したいという新宿恐怖症の方、多いのではないだろうか。

大手町駅での乗り換えは、路線によってはかなり歩かされるが、東西線から都営三田線の乗り換えは、かなり近くストレスも少ない。

11:00

オフィス着。いつもより1時間半も遅くなってしまったし、慣れない動きをして、何もしてないのにすでにヘトヘトだが、なんとかオフィスの運営に穴をあけずにすんだ。

さて今さら振り返っても後の祭りではあるが、電車がとまった時点ですぐに迂回ルートに切り替えていたら、オフィスには何時に到着できたのだろうか。そして、他にはどんな迂回ルートがあったのだろう。この際沼ってみることにする。ちなみにオフィスの最寄り駅は新橋駅(徒歩7分)または都営三田線内幸町駅(徒歩1分)。

東小金井駅からの場合

1.ちなみにいつものルート/47分

東小金井→JR中央線 東京→JR山手線/京浜東北線 新橋

いろんなルートがあるけど、東京駅で乗り換えるのは、たまにおいしいお店でお弁当を買ったり、お土産屋さんを覗いて目の保養をするため。

2.西武多摩川線新小金井駅ルート/1時間22分

JR東小金井駅から西武多摩川線新小金井駅までは、徒歩約11分と、歩ける範囲だ。

新小金井→西武多摩川線 白糸台/武蔵野台→京王線各停 調布→京王線特急 明大前→京王井の頭線 渋谷→東京メトロ銀座線 新橋

西武多摩川線白糸台から京王線武蔵野台は、乗り換え、というにはかなり無理があり、乗り換えの目印がほぼない住宅街を13分ほど歩く。周りに人がいないと、確実に迷子になりそうだし、本当に住宅街なので歩くテンションを維持するのが結構ムズイ。

それに迂回ルートとして採用する人が多いので、その先の京王線の混雑度合いが地獄になること必須(経験済み)。あの日このルートも頭に浮かんだが、不採用。

3.シェアサイクルを利用する

JR東小金井駅付近にシェアサイクル「ハローサイクリング」のポートがある。吉祥寺までがんばって自転車をこいでいけば京王井の頭線、もうちょっとがんばって荻窪までいけば丸ノ内線に乗ることができる。

方向音痴がたまに傷だけど、高架沿いに東に進めばなんとかなる?

武蔵境駅からの場合

西武新宿線田無駅ルート/1時間10分

武蔵境駅からのルートは、おそらく西武新宿線田無ルート一択では。あの日の私が、すぐに迂回ルートを採用した場合のオフィス到着時間を検証してみる。

8:37武蔵境→8:53西武バス 田無→8:59西武新宿線 田無→9:17高田馬場→9:24東京メトロ東西線 高田馬場→9:39大手町→9:44都営三田線 大手町→9:47内幸町

東京の交通網はとにかく発達しまくっているが、南北に縦断してくれる路線は意外と少ない。東京の西寄りにお住いのみなさんは、ぜひバスのルートも頭に入れておきたいところ。

関東バスの「たてバス」システム

西武バスアクセスマップ

田無からどういう乗り換えルートで行くかは、好みもあると思うが、あの日あの時、このルートが頭に入っていれば、9:47にはオフィスに到着できていたのかと思うと、もたもたしすぎもいいところで、私ってつくづく残念な生き物すぎん?と思う。

広島なら、2号線がうんともすんとも動かんようになった時に、そのままのんびり西条まで来る人と、熊野やら裏道やら駆使してはよう到着する人と、おってじゃぁないですか。あれとえっと変わらんのですよ。

でまあ、私が残念なのは仕方ない、これでも読んで心を落ち着けよう。

「電車が遅れました」って言うのは、もうやめましょうよ

(パンジー田中 大学勤務 1998年文学部卒)

<お問い合わせ先>
広島大学東京オフィス
TEL:03-6206-7390
E-Mail:tokyo(AT)office.hiroshima-u.ac.jp ※(AT)は半角@に変換して送信してください。


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