ポーランド駐在記(学生インタビュー編)

インタビュー日

2022年7月18日

海外駐在中のセンパイ

SSさん
2013年 経済学部経済学科昼間コース 卒業
2013年 製薬会社 入社
駐在地:ポーランド

(インタビュアー)
田原晃成さん
総合科学部国際共創学科4年(2022年7月取材当時)

インタビュー

田原:まずは現在の仕事について教えて頂けますでしょうか?

SS:出向でポーランドに駐在しています。ここでは、経営企画のような仕事で業務は多岐にわたりますが、KPIの設定や管理、中長期プランの策定、毎月の社内会議の運営や予算配分の決定などを行っています。

田原:今、新卒10年目ですよね?どのようなキャリアで現在の仕事になっていったんですか?

SS:2013年に入社して、営業を4年、会社の買収売却などを行う事業開発の仕事を4年で、その後ポーランドにきました。

最初の営業の4年の時は、東京のエリアを担当しており、次の4年の事業開発は、事業売却や買収後の統合、アライアンスマネージメントの業務にいました。また、2018年にアメリカでIT×ヘルスケアのベンチャー企業を立ち上げるというプロジェクトに入り、4社立ち上げ1社売却しました。その時は、アメリカと日本を行き来するという生活をしてました。2021年の3月には、スペインのIE UniversityでMBAを取得しました。今は、5年間で2-3カ国回るという社内研修に入っており、その最初の1か国目で今ポーランドに来ています。

 

ベンチャー企業の立ち上げメンバーと一緒に

IE UniversityでMBA取得

田原:すごくエキサイティングな経歴を歩まれていると思うのですが、このようなキャリアになるために意識したことはありますか?

SS:1つ目は、何か一つ突き抜けることが大事かと思っています。

どの会社でも同期や同世代の人がたくさんいますが、その中でたとえば海外で働きたいと思っていたらやっぱり目立っていかないといけないんですよね。自分が今のプログラムに選ばれたのは、アメリカのベンチャー企業立ち上げに参加したことが一つのきっかけになったと、その業務をしているときはそれほど意識していませんでしたが、今となれば思います。

誰かを選ぶときに、上司や会社も選んだ説明をしないといけないんです。その説明になるような経験を意識して作っていく、チャンスを逃さずつかんでいくということは大切だと思っています。

田原:なるほど!今聞いていて、就活している自分にも当てはまりそうだなと思いました。なぜ面接官が自分を選ぶのか?選ばれるためにはどのような仕掛けを作って周りと差別化できればよいのか、考えていこうと思いました!

SS:確かに、そうですよね。面接官にもなぜその人を採用したかという説明責任があるので、就活にも言えますね!

田原:この面接官の視点をもって就活を進めようと思います。ありがとうございます。

ただ、自分を含めてなんですけど、そもそもやりたいことが分からない人や、自分の進む道が定まらないという人も多くいると思うのですが、そういう時はどうしたらいいんでしょうか?

SS:自分も、大学生の時はこんなキャリアになるとは全く思ってもいませんでしたね。私の場合は、まずは考えすぎず行動してみるということが大事なのかなと思います。

営業するにしても営業をやってみないと分からない。営業で失敗しても向いてなかったと思って、違う職種に行けばいいんです。ただ、行動しないとなにも始まらないんです。一番いけないのは、やりたいことは何だろうと考えるだけになっていることです。

考えていても、なにも変わらないです。行動して自分の好き嫌いを見つけてみてください。

田原:確かに、進路について今までずっと考えるばかりで、なかなか行動出来ずにいました。

SS:とんちみたいですけど、行動すると行動のハードルが下がるんですよね。「失敗したらどうしよう」という心理的なハードルが自分の行動を妨げると思うのですが、行動していくと「案外大丈夫だな」と、その心理的なハードルが段々下がってくるんですよね。そのためにも、小さな行動をどんどんしていくというのは、キャリアを考えていく上で大切だと思います。

田原:行動して決めていくと考えると、気持ちが楽になってきました。これから社会人になっても、行動は続けていき、自分の道を決めていきたいなと思いました。

また今回、海外で働きたい方が多く読まれるかなと思いお聞きするのですが、海外で働くためにどのようなことをしたらよいでしょうか?

SS:海外で働くってことは、とりあえず英語をはじめとする外国語はいるわけじゃないですか。これはやったほうがいいわけなんですけど、自分が何を専門とするかは、同じように大事だと今になると思います。

これも、差別化の一つで、個人的には海外で仕事をしたいのであればジェネラリストよりスペシャリストを目指した方がいいと思います。

自分は文系出身で、今の会社ではジェネラリスト寄りのキャリアをたどっているので苦労しました。ジェネラリストは言語が話せることは当たり前で、言語を使って議論が出来たり、チームをモチベートするなどしていかなければなりません。

一方で、スペシャリストは、たとえば財務部門などだと数字で会話をすることが出来るので、言語は二の次でも大丈夫です。自分の会社でも、ファイナンスのスペシャリストや研究者が多く、海外で活躍しています。自分のようなジェネラリストは本当に珍しいです。

田原:そうなんですね、自分も文系で、しかも総合科学部なんでめっちゃジェネラリストです(涙)1年生の時から知っていたらまた違ったかも。

SS:あと海外の人たちの転職って、特にヨーロッパは移動が容易だからということもありますが、バリューを発揮できる場所なら平気で国境を超えるんですよね。

日本って「海外に日本から送られる」という感覚が強いと思うのですが、これは本当に正しいことなのかなと最近考えます。本質的には、適材適所で実力のある人が会社の必要なところに行って貢献するということじゃないですか。なのに日本企業ではいまだに日本から日本人を送り込むことが大半だと思います。日本からの技術移転などはそれでいいと思うのですが、そうじゃないケースもたくさんあると思います。

なので、世界規模で自分のバリューを考えるという高い視座を持っておくことができれば、グローバルで活躍できる人材になっていくと思います。

田原:海外のトップ層は世界規模で見てるんですね!自分も高い視座を持って世界を見てみようと思います!

今まで「世界で働くために」ということでお聞きしたかと思いますが、より広く社会人で必要な要素はなんだと思いますか?

SS:ストレスを感じないことだと思っています。失敗するとストレスを感じますよね。そのストレスを「すかせる」力は重要かなと思います。

自分自身、今までもう言い尽くせないぐらい失敗してます(汗)。ただ、それらの失敗は全部成功の糧になるんです!挑戦は、自分の出来ないことをやることなんで、挑戦すると絶対失敗するんですよ。その失敗って凄いストレスを伴って自信を失っちゃうと思うんですけど、これってほとんど無意味なんですよね。自信を失っても状況は変わらないんですよ。

なので、自分の中で少しそのようなことに鈍感になって、心を強く持って失敗を気にしない事が大切だと思ってます。次の行動を考えて、失敗したことはすぐ忘れるということが出来たら、自ずと成長するのかなと思っています。

田原:なるほど!成功する方法はよく聞くのですが、失敗の対処法について話している方があまりいなかったので、面白かったです。ありがとうございます。

感想
社会人になっても、向上心をもって学び続けているSSさんに感銘を受けました。就職活動は内定がゴール、とどうしてもなってしまいがちですが、入社した後まで考えられるといいなと思いました。自分もSSさんのように学び続け行動し続けて、色々なことに挑戦し続けたいと思います。貴重な機会をありがとうございました。

番外編

田原:ポーランドの普段の生活はどのような感じでしょうか?

SS:物価も日本と一緒ぐらい、治安もめちゃくちゃいいですよ!ただ、一点違うのが働き方ですかね。自分の会社は9時から17時で出社なんですけど、17時に誰もいなくなります。なので、時間への意識というのは日本にいた時と本当に変わりました。逆算して準備したりしていくので、生産性も上がったなと感じていますね。

続いて全3編に渡り、SSさんのポーランド生活にさらに迫ります。

【ポーランド駐在記(前編)】はこちらから

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