大橋誠(大成建設株式会社・都市開発本部 内定)

国際協力研究科 開発科学専攻・開発技術講座 
G.ecbo派遣先:マレーシア・マレーシア工科大学スルタンイスカンダー研究所(2015年 8月〜10月)

1)あらゆる可能性を考える

研修内容

マレーシアのジョホール州に位置するマレーシア工科大学のSultan Iskandar研究所で,現地の典型的な都市住宅であるテラスハウスの省エネ化手法を検討する実験住宅プロジェクトにメンバーの1人として参加しました。

参加目的

私は高専の専攻科出身なのですが,高等専門学校(高専)の建築学科では就職活動時,ほぼ全ての学生が企業の現場で施工管理として働くという選択肢しか与えられていません。そして多くの学生はそのことに何の疑問も持たず,仕事ではなく企業を選ぶという形で就職活動を行います。私は,なぜ高専の学生というだけで選択肢を与えられず,建築学科の大学生というだけで多くの選択肢が与えられるのか疑問に思い,すべての可能性から自分が本当にやりたいことを考えてみました。そして見つけ出したのが,都市開発という職業でした。建設の計画段階から携われる点が私にとってこの職業の魅力でした。この仕事に就くには高専から大学への進学が最低条件でしたが,普通にどこかの大学の工学研究科に進学するのではなく,かねてから考えていた世界中で活躍したいという思いを実現するために広島大学国際協力研究科に進学しました。そして,修士1年の夏にインターンシッププログラムに参加し,2ヶ月半をマレーシアのジョホールで過ごしました。
マレーシア滞在中に感じたのは,インフラや建築設備の不十分さでした。日本の都市部では今なお資本主義に基づいた資源の無駄遣いとも言えるスクラップアンドビルドが繰り返されているのに対し,発展途上国の都市部ではそもそも先進的なビルがそんなに多くありません。この状況を見て,私は発展途上国での都市開発への意欲がより一層高まりました。飽和した日本の都市部にビルを詰め込むのではなく,それが本当に必要な,望まれる場所に建てたいと思ったからです。将来的には,多くの発展途上国のハード面の先進国化に,都市開発という形で貢献したいと思います。

(省エネ化手法検討用に建設された実験住宅)

2)就職活動アドバイス

就職活動時は都市開発という仕事の性質上,採用人数の少なさに大変苦労しました。最大手のディベロッパーでも採用は毎年30人程で,ゼネコンでは3~5人程です。このため多くの企業が学歴偏重の採用活動を行っており,企業によっては門前払いされてしまいました。聞いた話ではありますが,いくつかのゼネコンは採用活動解禁日以前に一部の有名大学を対象に既に都市開発の採用を終えており,解禁後に見せかけの説明会を行っているそうです。大学の入試難易度と都市開発の適性に相関があるとは思えませんが,少なくとも現状は採用人数が極端に少ない職種においては,最初から入り口を相当絞った選考が行われる状況があります。だからこそ,学歴を除いたあらゆる点で誰にも負けないように準備する必要があると思います。そして人物重視の採用を行っている企業に出会った時に,そのチャンスを100%ものにするしかないようです。


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