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インタビュー(中編)
【前編】はこちらから↓
『うまくいくまでやるだけ、以上です(前編)』
メンタルを病みかけて
―半年でダメになった、起業のあるあるですね。
池邊:そう思います。フリーランスってぬるま湯なんです(笑)。個人で生きていければいいわけですから、1億2億稼ぐ必要はなくて、50万円あれば十分なので。ですが、半年後に売り上げが落ち込んだ時、「仕事を獲得する仕組みやノウハウを持っていない、マーケターなのに!」と気づき、目が覚めました。そこから、営業ではなく、SNS/ブログ/YouTubeすべてを駆使して、自分に問い合わせがくる仕組みを作りました。
―そこは他の人と同じことのような気がします。
池邊:そうですね。それを誰よりも顧客のことを考えて、顧客が欲しいものを届けることで信頼してもらい、自分に問い合わせがくるという、当たり前のことを、誰よりもやっただけです。
―そこを突き詰めていくと、レッドオーシャンでも勝ち目はあるということなのですね。突き詰めていない人たちは、どうやって生きていけているんでしょうか。
池邊:生きていけていないんだと思いますよ。僕は、「5年後10年後も、絶対に食べていけている」という自信しかありません。なぜなら、仕事を獲得する仕組みや作り方が分かるからです。それが多くの人にはないのではと思います。場当たり的なやり方だと、メンタルも病んでしまいます。
―成果が見え始めたのはいつ頃ですか。
池邊:すぐに見えました。
ブログをビジネスでちゃんと使えている人は、実はあまりいないのです。SNSは、料理や自分の好きなものを披露する、つぶやきの媒体です。それでよいのですが、これをビジネスに最適な媒体として活用できている人がそもそも少ないのです。WEBマーケティングができれば、どんどん仕事を獲ることができます。
マーケティング発想は、やりながら学んだ
―マーケティング発想は、一体どこで学んだのですか。
池邊:やりながら学びました。マーケティングは、商売でしか学べないと思います。モノや自分など、何かの価値を売り込む経験をしないと、本質的には学べないですね。
―いくつかの言葉で要点を述べるとすると、どういう言葉になりますか。
池邊:本を読んで得た知識などは無駄なので、「とにかく売れ」ということですかね。
自分で何かを売ろうとすると、どういう時に売れて、どういう時に売れないかの差分が見えてきます。この差分は、本からは決して学ぶことができません。この差分に、マーケティングがうまくできるかできないか、稼げるか稼げないかが詰まっているのです。対象となる商品や売る人によってやり方は様々ですが、原理原則はそこにあると思っています。
結局、なぜお金を出してまで購入するかというと、当たり前のことですが、お金を払ってまで得たい何かがあるからです。売るにあたってそれを言語化するわけですが、世の中の売れている商品には、ある程度のパターンが存在します。訴求するものが違うとはいえ、共通原則はあると思います。それを、自社の講座で教えているというわけです。
―目の前に、池邊さんも知らないAという商品があった時に、どうやって分析しますか。
池邊:人が何かを購入する時は、「機能的な価値」と「感情的な価値」のどちらかで判断します。
「機能的な価値」は「痩せる」「年収が上がる」「肌がきれいになる」など目に見えて効果がでるものです。「感情的な価値」は、例えば、アーティストのライブを見に行った時に高揚した気分になれる、という種類のものです。
まずは、顧客がどういう価値を求めていて、お金を払っているかを見ます。その上で、本当に顧客が求めている価値を遡求できているか、ずれがないかを確認します。
目標は、大きく
―いまはどんな環境で仕事をしていますか。
池邊:起業当初は、貧乏企業の特集にでてくるような狭い場所で、とてもじゃないけど集中して仕事ができないような環境でした。人も増えましたので、少し広い、今の渋谷のオフィスに移転しました。
社員は業務委託を含めると30人ぐらい、仕事はリモートが多いので、常時オフィスに出勤しているのは数名ですね。来年はフルタイムの社員をはじめて採用する予定です。大学生のインターン生も何名かいますよ。
現状は年商1億円ですが、将来的には20億円ぐらい稼ぎたいです。ポテンシャル的にはもっといけると思いますが、広告を一切だしていませんので。口コミだけで20億円いきたいです。
「どこに行っても絶対成功してやる」という根性は持っていると思います。「根性」には「真の意味で成果に向かって頑張れる根性」と、「かっこよくいたい、気に入られたい、好かれたいための根性」があると思っていて、後者ではだめですよね。
―お金の苦労はしたことがありますか。
池邊:一気に社員を増やした段階で、通帳の残高が100万円ぐらいしかなくなり、しかも来月の税金の支払いもできそうにない状況で、「やばいな」となったことがあります。WEB系の会社で、設備投資が必要ないので、そんなにお金が減ることを想定していませんでした。
―そういうのを一般的には「キャッシュフロー倒産」と呼びます。
池邊:その言葉もその時に初めて知りました(笑)。これがキャッシュフロー倒産か、これが黒字倒産かと。
―どうやって解決したのですか。
池邊:自分たちが持っているあらゆる商品を売りました。本来はもうやりたくないコンテンツづくりなどを無理やり営業して、単発で稼げるお金を300万円ぐらい集めました。
―そうやって、のちに自社のサービスを展開していきます。
池邊:自社サービスは、自分が相手にうまく提案できる、など自分の価値で売るのではなく、価値がゼロのものを売るので、自分に価値をつけない初めての仕事でした。
―つまり、自社サービスのブランディングは違っていたということですね。
池邊:おっしゃるとおりです。例えば、母体が強い上場企業なら信用性で売ることができると思いますが、自分の場合そこがゼロでしたので、最初は本当に売れませんでした。
2020年12月にローンチましたが、コロナの真っ最中ということで、世の中の流れがECに集まっており、WEB系の仕事の需要が増していました。その分野のプレイヤーが増えていましたが、その人たちは仕事の取り方を覚えなければいけない、ということで、サービスへのニーズが高まりました。
サービスのローンチから現在まで
―世の中にたくさんのコンサルタントがいる中で、どうしてSNSで見つけた池邊さんのところに集まってくるのでしょうか。
池邊:僕のYouTubeには1万人ぐらい登録者がいるのですが、最初に売れたのはそのYouTubeがきっかけです。20人ぐらいに売れて、そこからは口コミで広がりました。
―2020年12月にローンチして、うまくいき始めたのはいつ頃ですか。
池邊:最近(※発言は2022年9月)ですね。それまでは地獄の期間でした。サブスクリプションというのは、サービスに満足しなければ顧客はいつでも退会できます。平均2、3か月在籍して退会するというやばい状況に陥りました。コンテンツを視聴しても、ユーザー側に成果がでなかった、つまり僕たちが価値提供をできていなかったのが原因だと気が付きました。サービスとして未完成だったということですね。
リリースして3か月で、口コミで一気に広がり500名まで登録者が増えましたが、そこから8か月減り続ける一方で、300名まで減り、会社も4か月ぐらい赤字でした。500名から増えなくなった時点で、やばいと思いました。
―その間に、どう対応したのですか。
池邊:根本的にサービスをリニューアルしました。ローンチして4か月で、別のサービスを作った感じです。元々あった動画はすべて撮影し直し、会員サイトもエンジニアに依頼してゼロから改修しました。見やすさ、使いやすさ、ページの読み込みの速さが格段によくなりました。それでようやく、顧客が悩んでいることに応えることができるようになり、会員数が上昇に転じました。
―コンテンツの中身としては、何が足りなかったのでしょうか。
池邊:ユーザーの理解力がどれほどか、を想像できていなかったところが一番の原因だったと思います。自分でできないから弊社の動画コンテンツを求めているのに、そこが理解できていなかったのです。それが分かってから、顧客が絶対に迷うことがないように、ロードマップも作りました。
コンサルをしているときの相手は中小企業の社長さんなので、当然頭の回転は速いわけです。サブスクサービスの顧客をそれと同じ感覚で認識していたのが原因だったと思います。リニューアルに8か月かかり、とても大変でしたが、一般の人向けに、誰にでもわかるように作り直したことで、ようやく会員数がプラスに転じました。本当に大変でした。
―どういうところが大変でしたか。
池邊:プログラミングスクールなどと違い、WEBマーケティングのスクールには、成功した前例がありません。なので、ノウハウ化、言語化することが非常に大変でした。
―その間、池邊さんには学びがたくさんあった、というわけですね。
池邊:世間に対する学びがめちゃめちゃありましたね。人それぞれ、動いている発想や行動原理が違う、ということが、大きな気付きでした。
顧客の人数が少ない時は、顧客のリサーチを兼ねて個別でお話をする機会を作ったり、オフ会を開催して積極的にコミュニケーションをはかりました。その中で、顧客はここまで自信がないのか、誰かに肯定してもらわないと行動できないのか、ということに気づいたのです。STEP BY STEP、すべてを事細かに指示しないとやってくれない、ということが分かりました。感情、機能、デザイン含めてすべて考える必要がありましたので、「対顧客の総合格闘技」という感じでしたね。
―それをすべて言語化して、コンテンツが成立しているのですね。大手が手を伸ばしてこないですか?
池邊:大手にはできないですね。そんな面倒なことを言語化する人がいないと思います。弊社の買収の話を耳にしたこともありますが、今はそれよりも、自社のサービスを充実させて、顧客が求めているものを完璧な形で提供することに注力したいです。そこをやらないと、売却などのよい形も見えてこないと思っています。
無理やり、追い風を吹かせようとしている
―いろんなトラブルもあったはずです。
池邊: 実は会員数が500名ぐらいまで行った時、コンテンツを丸パクりされた経験があります。構成もそのままだし、自分しか使わない言葉を使っていて、あきらかにパクられていました。
でも、今は動画コンテンツをパクられたとしても、同じものはできない仕組みになっています。本数も約400本と膨大ですし、動画のあちこちに仕掛けがあったり、並び順に意味があったり、学びに必要な行動をしてくれた人にはポイントがもらえる仕組みがあったり、すべてが複雑につながりあっています。ポイントがたまると記事添削サービスが受けられるのですが、ポイント制を導入してから、退会者が明らかに減りましたね。
パクられたのは、大きな経験だったと思います。
―今は、追い風が吹いている状態といえるのでしょうか
池邊:追い風を頑張って無理やり吹かせようとしている、ですかね笑。恵まれたと思ったことは一度もないです。コロナは追い風だったかもしれませんけど、それ以外は、ずっと大変ですね。でもおかげさまで生活は安定しています。
【後編】はこちらから↓
『うまくいくまでやるだけ、以上です(後編)』