うまくいくまでやるだけ、以上です(後編)

インタビュー(後編)

成し遂げる気持ちが強いだけ

―池邊さんの思考は驚くほど前向きですが、どこから生まれているのでしょう。

池邊:いえ、全然前向きではなくて、めちゃくちゃネガティブです(笑)。

ブロガーの時は天狗になっていたと思いますが、今は、誰よりもリスクにおびえていて、どうすればリスクを最小限にできるかを考えています。変わったのは、目標が大きくなったからですね。時価総額でこれぐらい、という目標ができた時、何も誇れるものはないし、すべてにおいて不足しているものしかないと感じ、そうなると落ち込むしネガティブになります。
やっぱり欲が強いんじゃないでしょうか。何か達成したいという時に、それを成し遂げる気持ちは誰よりも強いと思います。それだけ、ですかね。決してポジティブな気持ちはないです。

―ブロガーのときは天狗になってしまったと。

池邊:その時も、ネガティブな部分はあったんですよ。内定を辞退した時に、自分の本音として、「会社員として大手企業で馴染んで、ちゃんと出世するというのは、自分を無理させないとできない」と。

自分のそういう弱みは、就活当時からわかっていました。入社したら、その状況で自分は輝けなかったと思っています。大学の卒論の時もそうだったのですが、何のために卒論を書いているのかわからなくなり、卒業を断念しようと考えたことがあったんですよ。自分が納得いかないところで、組織の中で道筋を立てられるのとダメになるところがありますね。

生い立ちのこと、学生時代のこと

―ところでご出身はどちらですか。

池邊:北海道です。総合科学部って何もしなくてよくて、楽そうだなと思って入学しました(笑)。父親は小学校の先生でした。

―北海道の土地柄や、家庭環境が人格形成に影響したと思いますか。

池邊:父親が勝ちにこだわるタイプの人なので、それに影響を受けていると思います。子どもの頃からサッカーをやっていたのですが、試合が終わったらいろいろ言われますし、厳しかったですね。

―「死んだ気でやれ、死ぬことはないから」という名言がありますが、その世界ですね。学生時代は何をしていたのですか。

池邊:フットサル部に入っていて、そこそこ活躍していたのですが、怪我をしてしまい、1年で退部しました。そこから2年間ぐらい、何もしていませんでした。

その後、ワーキングホリデーでオーストラリアにいったのですが、アルバイト先の英語のレストランで、月に70万円ぐらい稼ぎました。そこで、「個人でどこでも生きていける」という自信がつきました。自分にとって大きな転機になったと思います。学生時代、何かを成し遂げた、というのは、この出来事ぐらいでしたね。

学生の頃の池邊さん

―ポジティブなだけの人は失敗するけど、ネガティブな人がポジティブなことをすると成功するかもしれませんね。

池邊:ポジティブになれる瞬間って少ないと思うんですよ。ビジネスって課題をクリアして目標に近づくゲームじゃないですか。そう考えた時、数字やいろいろなもので常に不足している部分を見せられているのに、どうやってポジティブになれるのかがわからないですね。楽しそうにやっている人を、うらやましいと思いますよ。

―今後の目標を教えてください。

池邊:4年後に年間売上高20億円です。

事業を興す人に必要なものは

―個人が起業して会社が大きくなる過程というのは、暗黙知の世界が山ほどありますが、これから事業を興したい人には何が必要だと思いますか。

池邊:うまくいくまでやるだけ。以上です!
世の中で職業として成り立っているものは、誰かに価値提供ができているから成り立っています。対象は何でもいいので、とにかく目の前のことを精一杯頑張ってやる。目の前のお客様のために、うまくいくまでやる。以上だと思います!

―(一同)すばらしい。

池邊:きれいごとを言っているつもりはありません。それをやれる人はうまくいくし、独立だってしやすいし、会社も大きくしていけると思います。近道は絶対にありません。

それから、もっと欲に素直になっていいと思います。「もてたい」「金持ちになりたい」「きれいになりたい」とか他にもいろいろあるはずですが、そこには忠実でいいはずだと。じゃないと、こんなつらいこと続かないですよ。

僕には、金を稼ぎたいという気持ちは全くないんです。だから、「こういう未来を成し遂げたい」と強く思っていないと続かないのです。強い欲がない人は、それ以上欲しいものがないので、途中でやめてしまいます。「自分はこうなりたい」という気持ちをぶれずに持つことが大事だと思います。

―売上20億をめざすということですが、その先は。

池邊:資本主義に、もう興味がないです。
本質的にお金に興味がないんです。会社経営的な側面ではなくて、純粋に自分がやりたいことをやってみたいですね。今は具体的にやりたいことはないのですが、その時になにか出てくるだろうと思っています。

―池邊さんは今どういう欲があるのでしょう。

池邊:20億円規模で上場や買収ができたら、「お金で買えるものをなんでも買える世界を見てみたい」という欲を自ら作り出してみました。サッカーが好きなので、「お金持ちの人たちは、サッカーワールドカップのチケットがすごく簡単に手に入っているぞ」とか、そんなちっちゃなことなんですけどね。

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