実務法学専攻では,法曹界を牽引する高度専門職業人を育成するため,専門職学位プログラムとして「実務法学プログラム」を開設する。
高度な専門的法律知識を紛争解決の場面に応用し,状況に応じて適切かつ柔軟に適用でき,かつ,個々の紛争解決活動における高度専門職業人としての職責を深く自覚し,自己の活動を真摯に自省しながら,知性を鍛錬し,日々研鑽を継続することのできる,リーガル・プロフェッション性を身に付けた人材を育成する。高度な法律知識を学ぶインプット系講義科目と,そのより正確で深い理解を求める双方向・多方向型アウトプット系演習科目とを交互に繰り返す教育プロセスにおいて,学修に対する反省とそれを深化させる工夫を求めることでプロフェッショナル性を植え付け,その学修の転用を意識づけ,専門的法律知識を活用する経験を積むことで,さまざまな紛争解決の場面に応用する能力を修得させる。
また,法科大学院制度は,多様な人材を入学させ,画一化されない法曹の輩出を目的とする。特に現代社会ではこれまでのルールでは十分に諸利益を調整し収められない事態が次々に生じると予測されるゆえに,新たなルールを想像し適切に利益対立を解決できる法曹が求められる。この観点から, 法律学以外に,将来の法曹として有益となる学識を修得させること,あるいは学部から磨いてきた専門領域をライフワーク的に学び続けることで法律学の学修の質向上を図り,人文社会科学領域に関連する研究分野について幅広く理解する科目(大学院共通科目,研究科共通科目)や独自の探求心に基づき理論を組み立て研究していく科目(法律基本科目群「重点演習(公法理論研究)」「重点演習(民事法理論研究)」「重点演習(刑事法理論研究)」)を履修あるいは授業参加することを通じて,法的観点と他の価値判断の観点を併せ持つことにより,法律家として他とは異なる専門領域を切り開く,あるいは新たなルールを形成できる,独自の力量で社会に貢献する人材を育成する。
実務法学プログラムは,中四国地区における法学未修者教育の拠点として機能するために,法学未修者が3年間の教育で修了後最初の司法試験に合格できるカリキュラムを構築する。そこでは,単に法的知識の詰め込みではなく,むしろ事例解決の法的論理を,法的価値判断だけではなく,哲学的思考,科学的分析,社会観や歴史観等の複層的・多層的な視点をもって分析的に思考できる教育内容及び手法を工夫し実施する。
複層的・多層的な視点をもって分析的に思考できる能力の育成は,他プログラムと連携し他の学問領域の基礎の学修の機会と,そこでの学びを法的紛争解決の場に活かす教育を行うことで達成することができる。他の専攻との学問的な融合が,本研究科の専門職大学院としての教育成果の改善及び中四国エリアにおける法学未修者教育の拠点形成という目標をより迅速に達成へと導くものである。
また,法学・政治学プログラムの「特別研究」と,実務法学プログラムの「重点演習(公法理論研究)」「重点演習(民事法理論研究)」「重点演習(刑事法理論研究)」で,双方の学位プログラムの学生が両方の講義の一部を受講することを可能とする授業連携により,理論と実務との融合による研究の視点を取り入れ,法曹養成教育の充実につなげる。教員交流等により, ICTを利用した授業の相互提供等を行い,授業科目の多様性を確保する。研究者と実務法曹を目指す2つの学位プログラムを1つの研究科に設置することで,明瞭な学修方針を提供するとともに,学生の考究心に対応した適切な指導を行う。
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