「漢方診療センター」を設置しました



広島大学病院は2015年8月1日付で「漢方診療センター」(センター長・田妻進・総合内科・総合診療科教授)を設置しました。



【設置の背景】

遺伝子治療や臓器移植など、西洋医学に基づく医療の進歩は目覚ましい。一方、西洋医学に基づく診療体制のみでは解決困難な病態や複雑な症候、病変部位が明らかではない疾患や機能失調に対しては漢方診療が適する場合が少なくありません。広島大学病院総合内科・総合診療科では平成19年から漢方外来を開設して、西洋医学のみならず漢方を専門に研修した医師が、他科との連携にて西洋医学的診断を行った後に東洋医学的診断法(脈診・腹診・舌診など)を取り入れて漢方薬を処方し治療を行ってきました。社会の高齢化とともに多彩な症候を受療動機とする来院患者が増加しつつあり、様々な診療領域との連携とともに緩和医療や心身医療を含む横断的診療としての一層の充実が求められています。

さらに、文部科学省2001年「モデルコア・カリキュラム」一般目標「診療に必要な薬物治療の基本原理を学ぶ」の到達目標に『和漢薬を概説できる』が記載され、教育的漢方外来の必要性から全国大学41大学において臨床実習が組み入れられており、全国で正規の漢方医学講座や診療部門(漢方専門外来・漢方センターなど)も増加しつつあり、世界的にも医学教育や実地臨床への組み入れが進んでいます。

それらを背景に関連診療科の横断的連携を基軸として薬学・歯学・保健学との多職種連携によるinter-professional education and work(IPE & IPW)を実践する「漢方診療センター」を設置して先進的漢方診療を推進することとしました。



【業務内容】

1)西洋医学的治療では解決しえない疾患・愁訴、多愁訴への漢方による対応

2)高齢者に対する西洋医学的治療の限界やポリファーマシーによる副作用の懸念を払拭するための漢方薬治療介入による愁訴の改善

3)院内漢方コンサルタント、漢方治療を介する病診連携・病病連携・全人的治療への対応(患者希望を含む。)



【診療体制】

漢方診療センター長を中心に,現在の診療担当・漢方専門医に加えて、内科、外科、産婦人科、耳鼻咽喉科、麻酔科、精神科医師と連携し,総合内科・総合診療科で診察します。

センター代表窓口は,総合内科・総合診療科受付(電話:082-257-5460)。


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