病院長・主席副病院長あいさつ

病院長 安達 伸生(ADACHI Nobuo)

患者さんに寄り添い高度で安全な医療を

広島大学病院は1945年に設立された広島県立医学専門学校および附属病院をルーツとする歴史の長い医療施設であり、近年では2003年に医学部附属病院と歯学部付属病院が統合され現在の「広島大学病院」となりました。国内でも有数の医科歯科を連携病院として、長年にわたり広島県のみならず近隣の皆様に高度で安全な医療を提供してまいりました。私たち広島大学病院は、国民の健康と福祉の向上のために、「全人的医療の実践」、「優れた医療人の育成」、「新しい医療の探求」の基本理念を掲げています。

全人的医療の実践
全人的医療とは身体的な疾患の治療のみならず心理的、社会的な側面を含んだ患者さん自身の包括的な健康と幸福を探求する医療です。これには疾患の治療のみでなく生活習慣の改善や予防、心理的サポート、社会的な支援などが含まれ、患者さんの健康改善、維持、増進のため総合的にアプローチすることを意味します。
広島大学病院は高度で安全な医療を提供する特定機能病院であり、がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、てんかん支援拠点病院など多くの指定を受け様々な先端医療を推進しています。また、広島大学病院は地域のかかりつけ医の先生方や多くの医療機関と連携し、高度急性期医療を担う病院として地域医療にも大きく貢献してきました。現在の医療現場ではロボット手術、再生医療の臨床応用、がんゲノム医療など複雑化、高度化した医療が進められており、医療安全や医療倫理がますます重要となっています。当院では多職種で構成される医療安全管理体制を構築し、安全な医療の提供とともに職員の教育を行っています。今後も地域に根差し、広く患者さんに貢献するよう安全で安心な急性期医療の実現に邁進してまいります。

優れた医療人の育成
広島大学病院が位置する広島大学霞キャンパスは医学部医学科、医学部保健学科、歯学部、薬学部、原爆放射線医科学研究所が存在する医療系複合キャンパスであり、多職種医療人を育成する場でもあります。広島大学病院は。全人的医療、医療安全の知識を身につけた多職種医療人育成のため、各部署が連携した有機的な教育体制を構築し、毎年多くの医療人を輩出し、地域医療に貢献しています。

新しい医療の探求
医学、医療は日々進歩していますが、新しい医療を開発し、患者さんに安全に届けることも大学病院の大切な使命です。広島大学病院は医療系総合キャンパスである広島大学霞地区の総合力を生かして、先進的で革新的な医薬品・医療機器ならびに医療技術の開発を目指して質の高い臨床研究を展開しています。広島臨床研究開発支援センターでは被験者の方々の人権を保護しつつ臨床研究や治験推進のためのサポートを行っています。現在、細胞や成長因子、薬剤、医療機器などを用いた再生医療が開発され、一部はすでに臨床応用されています。当院の未来医療センターではこのような再生医療の開発、研究、臨床応用支援を行っています。今後も安全面、倫理面に十分配慮しつつ、先進医療の推進を計ってまいります。

最後になりますが、広島大学病院は患者さんに寄り添いながら、安全で安心な高度先進医療を提供し、職員すべての真摯で献身的な努力により地域社会に貢献してまいります。今後ともより一層のご支援、ご協力、ご理解をお願いいたします。

安達病院長

主席副病院長 谷本 幸太郎(TANIMOTO Kotaro)

地域の歯科医療提供体制の拠点として一人ひとりを大切にした質の高い歯科医療の提供を目指して

広島大学病院歯科は、歯学部附属病院として1967年に設置されました。2003年に医学部附属病院と歯学部附属病院が統合され、同じ理念のもと、一つの病院として歯科にかかわる地域医療の実践、人材の育成、高度先進医療の研究開発を担ってきました。当院の歯科部門では、乳幼児期から高齢期まですべてのライフステージの健康に寄与するために、標準的な歯科治療に加えて、あらゆる専門的な治療に対応しています。みなさまに安心して治療を受けていただく上で、大前提となるのが医療安全および感染対策です。これらを高いレベルで維持するために、日々改善を続けるとともに、来院される方の信頼につながるわかりやすいものとなるよう努めて参ります。

当院では、歯科に関連した疾病の重症化予防や地域包括ケアシステムでの連携の推進に力を入れています。前者の取り組みでは、入院患者を中心に、医科歯科連携をはじめとした緊密な連携のもと口腔と栄養の管理を一体的に行うことで、誤嚥性肺炎や低栄養を予防するとともに、口腔機能の速やかな回復を図っています。これに関連する新しい取り組みとして、2022年に革新的病院口腔ケアプロジェクトセンターが設置されました。また、口腔先端治療開発学研究室を開設し、再生医療など高度先進医療の研究開発を一段と強化しております。後者の地域包括ケアシステムについては、地域の実情を踏まえた取り組みが鍵となります。私たちの地域では、健やかで生き生きとした生活を送るために生涯を通じた歯と口腔の健康づくりが重要との考えから、「歯周病への対応」、「在宅歯科医療の充実」、「障害児(者)・要介護者への対応」、「口腔と全身との関連」が課題として挙げられています。当院は、行政や歯科診療所などと連携しながら、そのいずれにも参画し、障害や難病をお持ちの方も安心して暮らせる地域共生社会作りに貢献しています。

その実現に向け、地域の歯科医療提供体制の拠点である大学病院の大切な役割のひとつに、医療人材の育成があります。口腔の管理の重要性を学ぶ機会を充実させながら、高度な専門性を持った歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士の不足に対応することが求められています。そのために、学部教育とつながりのある卒後研修を実践し、病院では、栄養、離床・リハビリテーション、口腔に関する治療計画作成などを通じて他職種との交流を経験し、チーム医療におけるそれぞれの役割を果たせるようにしています。
 これからも質の高い医療の提供に努めて参りますので、皆様のより一層のご理解とご支援を賜りますよう、どうかよろしくお願いいたします。

谷本主席副病院長


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