全体講演

講師

益川弘如 先生(静岡大学学術院教育学領域准教授)

演題

「次期学習指導要領につながる授業と評価のすがた」

 本講演では,次期学習指導要領につながる授業と評価のすがたについて,学習に関する科学的知見を蓄積してきた学習科学の知見から整理し紹介する。中でも,育成すべき資質・能力は,生まれつき人が持つ学ぶ力であると考え,その学ぶ力を発揮しやすい学習環境をいかにデザインするかが肝となる。子供たち同士の対話活動において,単にわかったことを紹介して終わるのではなく,わかった・わからないを繰り返しながら悩み対話するすがたを大事とする。また,教師の意図する範囲の学習内容を覚えて終わる正解到達がゴールではなく,その先の疑問や問いが生まれ,子供たちが新たな学習目標を創出する授業の設計が重要となってくる。そのような対話のすがたや学習の変容を捉える評価をしていくことが,個人の成果の測定にとどまらず,学習環境自体の評価と改善の抽出につなげていくことが重要であることを紹介する。

講師プロフィール

[益川弘如先生 プロフィール]

 広島県生まれ。中京大学大学院情報科学研究科博士課程満退,博士(認知科学)。大学時代の指導教員は,故三宅なほみ東京大学名誉教授。中京大学情報科学部認知科学科助手を経て,現在,静岡大学大学院教育学研究科准教授,ならびに附属学習科学研究教育センター(RECLS)センター長。専門は学習科学,認知科学,教育工学。県内外の様々な教育関係者と一緒に,主体的で対話的な深い学びを実現する授業,ICTを活用した授業,そして,学びの変容を促す評価方法の開発といった,新たな学びを実現するためのデザイン研究を「建設的相互作用」といった人の学習原理に基づいて取り組んでいる。
   主な著書・論文に「知識構成型ジグソー法」『アクティブラーニングの技法・授業デザイン』(2016 東進堂),『21世紀型スキル―学びと評価の新たなかたち』(2014 北大路書房,共著・編訳),「インターネットを活用した協調学習の未来に向けて」『児童心理学の進歩』53(2014 金子書房、共著),「学習科学の新展開:学びの科学を実践学へ」『認知科学』21(2)(2014 共著)など。

 現在,
  文部科学省 先導的な教育体制構築事業 効果検証ワーキンググループ委員
  文部科学省 中央教育審議会 生涯学習分科会 学習成果活用部会委員
  静岡県総合教育センター 研究顧問
  文部科学省 中央教育審議会 初等中等教育分科会教育課程部会 情報ワーキンググループ委員


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