ピンクリボン月間 〜乳がん検診〜

乳がん検診について、乳がんがご専門の内分泌外科の村上茂先生にインタビューしました。

 

内分泌外科で乳がんを担当されている村上茂先生

Q:10月はなぜ、乳がん検診月間なのですか。
A:ピンクリボン運動が海外で始まり、日本で広まったのは21世紀になってからといわれています。21世紀に入った最初の年の10月、乳がん患者支援団体が、東京タワーをピンク色にライトアップしたことから、10月=ピンクリボン月間=乳がん検診月間となったようです。
Q:ピンクのリボンと乳がんの結びつきについては?
A:ピンクリボンは乳がんと戦っている人々の努力を知っていただくためのシンボルと聞いています。

乳がん発症年齢のピークをグラフで説明

Q:乳がんは女性であれば年齢に関係なく、だれでも発症の可能性ある病気なのですか。
A:残念ながら、そのとおりです。
女性に限らず、男性でも極々稀ですが発症することがある病気です。
日本人の女性で乳がんが一番多く発症するのは40歳代ですが、「若いから」「年だから」かからない病気ではありません。自分は関係ないと無関心になってしまうことが、最も心配なことです。

定期健診の重要性を説明

Q:では、乳がんの予防法はあるのですか。
A:残念ながら、これと言った方法はありません。
それゆえ早期発見、早期治療がもっとも大切になります。早期発見をするためには、定期的に検診を受けることが重要です。
Q:しかし、自覚症状があれば乳がんに限らず病院へ行くと思いますが、乳がん初期の自覚症状ってどんな症状が出現するのでしょうか。
A:一番多い自覚症状は乳房のしこりです。これはご自分で定期的に乳房を触ってみることで、見つけることもできます。乳がんは自分自身で見つけることのできる数少ない癌の一つです。

自分自身で見つける触診方法について説明

Q:しこりを見つけた時は病院のどこの科にかかったらいいのですか。
A:乳がんは乳房の病気なのでよく婦人科と間違えられるのですが、外科の領域です。
「外科」といっても整形外科や脳神経外科もありますが、それは明らかに違います。乳がんの治療、検診に対応できる外科は、内分泌外科、乳腺外科などの標榜を掲げている外科です。ここであれば乳がん治療、検診の対応はできます。

マンモグラフィーで見つかった初期の乳がん

Q:では、自覚症状がない時は検診を受けることになるのですか。
A:そうです。いま日本は、2年に一度検診を受けることが勧められています。乳癌検診は、実際に乳房を触って調べる視触診と、乳房を挟んでレントゲン撮影をするマンモグラフィが行われます。乳がん検診でマンモグラフィを撮るようになって、触っても分からない小さな乳癌が見つかることが多くなりました。
Q:では、乳がん検診を毎年10月に受ければ早期発見、治療が実現できる、ということでしょうか。
A:10月に拘らず、一年に一回の定期検診を受けていただければ、早期発見、早期治療に結びつくと思います。

自覚症状は全くないが、素人目にも乳がんが写しだされていることがはっきりとわかるレントゲン画像

Q:早期発見のメリットは?
A:1番のメリットはなんといっても、少しでも再発の可能性が低くなることです。加えて、乳房を温存できる可能性が高くなりますし、抗がん剤治療も必要でなくなることもあります。
Q:では、自覚症状はなくてもマンモグラフィーでは、はっきりがんが写しだされている例をご紹介いただけますか。
A:この画像がそうです。自覚症状は全くありませんが、乳がん検診でがんが見つかった映像です。
Q:えっ!自覚症状は全くないにも関わらず、マンモグラフィーではこんなにはっきり写しだされているんですね!
A:そうです。ですから定期健診を行うことが大切なのです。

 

村上先生ありがとうございました。
乳がんは早期発見で治療すれば、決して怖い病気ではありません。
乳がん検診は進んで受診しましょう。


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