レーザー使い、ペースメーカーなどのリードを安全に抜去



広島県内で初めて本格導入

広島大学病院心臓血管外科(科長・末田泰二郎教授)では体内に植え込んだペースメーカーなどのリード(導線)を、エキシマレーザーを使って安全に抜くことができる新しい治療を本格導入しました。この方法は全国11施設(中国地方では3施設)で実施されていますが、広島県内では当院のみです。

2010年にペースメーカーや植え込み式除細動器を装着した患者さんは全国で約4万人、県内で1000人に上っています。このうち約3%がリードの感染などのトラブルを起こしていると推定されています。

感染が起きると敗血症や感染性心内膜炎などを起こす恐れもあるため、リードを抜き取る必要があります。しかし植え込んでから長期間経過している場合には周囲の組織に癒着して簡単に引き抜けないことが多く、無理に抜くと致死的な合併症を起こすこともあります。従来は人工心肺装置を使う開胸手術をするしかありませんでした。

新しい方式は、さや状の「シース」でリードを覆うように挿入し、先端からレーザーを照射して癒着した部分を焼き切りながら抜き取るやり方です。胸の切開も数cmで済むことから体に優しく、重い合併症がある高齢の患者さんにも効果が期待されています。

当院では本年6月に県内で初めて専用のエキシマレーザー装置を導入し、これまでに4例を施行しました。なおこの手術は本年より保険適応となりました。

エキシマレーザー癒着剥離の原理



どう思われますか?
ペースメーカーで・リードの外周をレーザーシースで覆い、シースの尖端のレーザーで大動脈や心臓との癒着をゆっくり剥離!


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