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アプリで脳波データを共有、てんかんの遠隔診断目指す検証スタート

 広島大学病院てんかんセンター(飯田幸治センター長)は、かかりつけ医で検査した脳波データを共有し、てんかんかどうかを専門医がリモート診断する国内初のシステムづくりをスタートさせました。6月3日、記者説明会と併せて共同研究機関のヒロシマ平松病院と結んで送られた脳波データを飯田センター長が判読するデモ実験を行いました。オンラインでの共同会見には、飯田センター長と、アプリ「Join」を開発した株式会社アルム遠隔医療事業部準備室の風間正博室長、実証実験に参加する札幌医科大学医学部の三國信啓教授が出席しました。

 てんかんは神経疾患の中では頻度が高く、1,000人あたり5~10人の割合でみられます。高齢化の進展によって今後増加が見込まれる高齢者のてんかんは、認知症と表面的な症状が似ていて、見逃されるケースも出ています。てんかん診断には脳波検査が必要ですが、日本てんかん学会専門医は約700人と不足しており、地域全体をカバーできていません。このため広島大学病院てんかんセンターは、身近なかかりつけ医で検査した脳波データをリアルタイムに近い形で判読し、てんかんかどうかを鑑別する国内初のリモート診断システムづくりの検証をスタートさせました。

 また、難治性のてんかんと診断されながら、別の病気の可能性が疑われるケースもあります。その場合は、入院しながら脳波と発作時の様子を撮影する「長時間ビデオ脳波モニタリング」が必要となり、これについても遠隔診断で早期の発見につなげたいとしています。逆に認知症の中にてんかんが隠れているケースの診断にもつながるとしています。
 遠隔診断システムを通じてさらにスムーズな脳波判読が可能になり、てんかん診療の地域格差解消につながることが期待されます。

共同記者会見

共同記者会見

送られてきた脳波を解説する飯田センター長

送られてきた脳波を解説する飯田センター長


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