患者負担少ないてんかん診断へ手術ロボット導入

 広島大学病院は、難治性てんかんを診断する「定位的深部脳波検査(SEEG)」を素早く正確に行える「てんかん手術支援ロボット」を導入しました。国内3例目で西日本では初めてです。6月30日には本院てんかんセンターの飯田幸治センター長、香川幸太診療講師、広島大学脳・こころ・感性科学研究センターの山脇成人特任教授が出席した記者説明会で披露されました。

 国内のてんかん外科では、開頭して頭蓋内に電極を留置していた従来法にSEEG方式が加わりました。SEEG は、頭皮上から頭蓋骨に小さい穴を開け脳深部へ電極を挿入する方法で、患者さんへの負担が大幅に軽減できます。また、脳科学分野での脳機能の解明やこころ・感性に関する研究にも応用が期待されています。

 てんかんは、120人に一人の割合で発症する大脳の慢性疾患です。適切な治療を受ければ7、8割は薬剤で発作をコントロールできます。しかし2、3割は薬剤の効かない難治性で、外科手術が検討されます。検査は、まず脳波やMRI、PETなどで実施。それでも診断が難しい場合は頭蓋骨を開頭して電極留置を行っていましたが、感染のリスクがあり、回復にも時間がかかっていました。SEEGは開頭を要しないため利点がありますが、ロボットなしでは平均6時間近くかかり(ロボット下では2時間余り)、留置部位にも制限がありました。支援ロボットは、手術時に顔面情報をレーザーでスキャンして事前に撮ったMRIなどの画像データと統合、十数カ所の脳深部へ電極を挿入するポイントを正確に指示します。このため手術時間が大幅に短縮され、患者さんの身体的な負担が減り、安全性も高まります。


up