膝の半月板再生へ医師主導治験

 広島大学大学院医系科学研究科(整形外科学)安達伸生教授らが半月板損傷を対象にした再生医療の医師主導治験を令和4年8月から開始します。三洋化成工業株式会社(京都市)が開発した機能性タンパク質「シルクエラスチン」をゲル状にして半月板断裂縫合部に適用し癒合、再生を促します。7月25日には、安達教授らが出席して記者説明会を開きました。

 膝をはじめとする関節の機能は、加齢や肥満により低下することで運動機能低下のリスクを生み、いわゆる「ロコモティブシンドローム」に大きく影響を及ぼします。 特に歩行を司る膝関節の軟骨や半月板は重要な組織です。しかし、加齢やスポーツなどにより、軟骨や半月板が変性、損傷するなどした場合、 変形性膝関節症につながり、日常生活にも支障をきたします。膝関節の軟骨については近年広島大学からスタートした再生医療が進んでいますが、半月板は血行に乏しく一度損傷すると修復されにくいことから、やむを得ない場合は半月板を切除する治療が主流でした。このため、膝関節軟骨と半月板の双方を再生する“究極の根治”をコンセプトに掲げて2017年から、両者で共同開発を進めてきました。治験は来年3月まで、8歳以上60歳未満の8人を対象に予定しています。


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