2023年度の広島ロータリークラブ賞 2件を採択

 2023年度の広島ロータリークラブ賞に2件が採択されました。リウマチ・膠原病科の茂久田翔講師「炎症誘導性宿主受容体NRP2の制御を介したCOVID-19新規治療法の開発」と、感染症科の北川浩樹助教「βラクタム系抗菌薬持続投与による血中および組織における薬物動態力学的検討」の2件です。

 3月22日、病院長室で採択通知があり、工藤美樹病院長から2人に採択通知書が手渡されました。この賞は広島ロータリークラブ90周年記念事業の一環として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をはじめとした感染症研究の目的で、広島大学にいただいた寄附金を基に2022年度に設立。今回は9件の応募があり、選考会議をへて選ばれました。

 茂久田講師の研究は、リウマチ患者の世界的データから新型コロナウイルスが細胞に感染する際に重要となる宿主受容体(NRP2)に着目。炎症性サイトカイン(TNF、IL-1β)の刺激によってNRP2の発現が上昇、ウイルスの増殖も促進することを突き止めました。さらにshRNAでNRP2の発現を阻害すると、ウイルスの増殖も抑制される方向も示され、新たな抗体製剤開発につながると期待されます。「医系科学研究科ウイルス学研究室と一緒になって進めた研究。引き続き有用な研究成果が出せれば」と話しました。

 北川助教の研究は、下部消化管手術時に4種類のβラクタム系抗菌薬をボーラス投与後に持続投与し、血中、腹水、組織中の薬物動態を調べるものです。それぞれ10例、計40例を計画。得られたデータを基に、院内感染を起こす病原菌ごとに最適な抗菌薬の持続投与方法を明らかにしていきます。さらに血中濃度を用いた組織濃度予測への応用も視野に入れています。「実臨床における有効なβラクタム薬持続投与法に繋がる成果が出せれば」と期待しています。

左から北川助教、工藤病院長、茂久田講師

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