令和5年度の臓器移植等推進功労者に対する広島県知事の感謝状贈呈式が10月26日、広島県庁であり、3人が感謝状を受けました。
本院から消化器内科の河岡友和講師と小児科の溝口洋子助教の2人、心臓移植手術を受けた子どもを持つ母親として啓発活動に取り組む菊地由利子さんの計3人に、湯崎英彦知事から感謝状が手渡されました。湯崎知事は「移植医療に尽力いただき感謝しています。1997年の臓器移植法施行から64例の臓器提供を受けました。しかし県民への認知は進んでいるとは言えません。普及・啓発へさらに取り組んでいきたい」と述べました。輸血部の藤井輝久部長にも感謝状が贈られましたが、この日は欠席しました。
河岡講師は2006年から広島大学病院に勤務、これまで肝移植症例200例に関与、移植の適応判断や術前の全身管理などに携わってきました。内科医としてはただ一人移植認定医を取得し、内科・外科の連携、周術期の管理、後進の指導などにも取り組んでいます。「内科医の立場から肝移植の適応のある患者にはそれを提示し、ドナーの検査にも携わってきた。移植を待つ患者では、状態を見ながら手術直前まで対応している。大学病院はスタッフも多く周囲と協力しながらここまでやってこれた。感謝したい」としています。
溝口助教は2008年から勤務、小児血液がん患者、原発性免疫不全患者ら50例近くの造血幹細胞移植にかかわっています。2020年からは主治医として移植を実施、骨髄バンクドナーからの骨髄採取にも携わっています。「受賞はありがたい。治療の難しい症例や再発した子どもたちにとって移植は最後の砦。骨髄バンクの体制が整備され、救いになっている。ただ若い人のドナー登録が減っており、啓発も必要だと考えている」と話しています。
藤井部長は輸血部に在籍25年、移植医療に不可欠な輸血用血液の管理に加え、臨床では適正使用を移植医に指示、造血幹細胞移植での輸血療法などにもかかわってきました。ヒト間葉系幹細胞療法、CAR-T療法を導入、県内の他施設へ輸血・細胞療法の支援にも努めており、貢献が評価されました。
左から菊地さん、河岡講師、湯崎知事、溝口助教、北原加奈子健康福祉局長