厚生労働省が展開する「知って、肝炎プロジェクト」の肝炎対策特別大使を務める演歌歌手の伍代夏子さんが5月14日、広島大学病院を訪問しました。患者と言葉を交わし、消化器内科の岡志郎教授や肝疾患相談室長の柘植雅貴教授、増田幸子総括肝疾患コーディネーターと意見交換。肝炎の早期発見・早期治療へ、年代や仕事を問わず、体に気になるところがなくても肝炎ウイルス検査をするよう訴えました。
伍代さんは2012年に肝炎対策特別大使に就任し、C型肝炎を克服した経験をもとに、全国各地で肝炎の正しい知識と検査を呼びかける啓発活動を続けています。入院棟では患者3人と対話。「体が何ともないので放っておいたのが悪かった。家族にも迷惑をかけた」という患者に、伍代さんは「自分一人の命じゃないから。気持ちをしっかり、大丈夫と信じて治療して」と励ましました。
意見交換で、岡教授は血液検査を進めている効果、柘植教授は支援制度を活用した患者の負担軽減、増田コーディネーターは院外と連携しての患者のフォローアップの現状などを説明。伍代さんは「イベントやグッズで引きつけ、その場で血液検査をするのはいいアイデア。職域や学校でも検査が広がれば」と提案しました。
広島大学病院に先立って訪れた広島県庁では、伍代さんは湯﨑英彦知事と、広島大学の田中純子理事・副学長、岡教授、柘植教授と広島県の肝炎対策について意見を交わしました。
肝がんの原因の大半は肝炎ウイルスの感染とされ、肝炎は放置すると肝硬変や肝がんに進行する恐れがあります。ウイルスによる肝炎は自覚症状がないケースが多く、広島県内で感染が推計される約6万人のうち約1万人は感染に気付いていないと言われています。B型肝炎は働く世代に、C型肝炎は高齢者世代に多いと考えられており、早めに肝炎ウイルス検査をすることが大切です。