パリパラリンピック競泳100メートル平泳ぎ知的障害クラスで銅メダルを獲得した山口尚秀選手が1月6日、広島大学病院にメダルの報告と診察に訪れました。山口選手は大会直前に左足小指のつけ根を骨折し、地元の愛媛県今治市で手術後、広島大学病院に1週間入院。リハビリに努めた後に渡仏して快挙を達成しました。
リハビリテーション科の三上幸夫教授が「おめでとう」と声をかけると、山口選手はメダルを披露しました。「大観衆を前にアドレナリンが出て、痛みは吹っ飛びました。お礼を伝えたかった」とほほ笑む山口選手。三上教授は「骨折手術から1カ月足らずで大会に出て、さらにメダルもとるのは普通では考えられない。山口選手の力はもちろん、家族や病院などみんなのサポートがあったからこそ。けがをしたすべてのアスリートの励みにもなる」と喜びを分かち合いました。
山口選手は大会直前の7月31日、練習中に足をひねって骨折。8月6日にボルトで骨をつなぐ手術を受け8日、広島大学病院に入院。車いすを使い、歩けない状態でしたが、主に3人の理学療法士がついて、足に負担がかからない持久力・筋力トレーニングや、バランスボールに腹ばいになり伸縮するテープを引くトレーニングなどで体力を改善。14日に退院して渡仏し、9月3日の本番を迎えました。
広島大学病院で患部のレントゲン撮影をすると、ほぼ骨折の跡が見えなくなるまで回復していました。日本パラスポーツ協会医学委員会副委員長も務める三上教授は「もう大丈夫」と太鼓判。山口選手は「お世話になった皆さんの期待に応えられるよう、ベストな泳ぎを見せたい」と決意を新たにしていました。入院棟の看護師にも喜びを届けました。