広島大学病院は4月24日、公益財団法人放射線影響研究所(広島市南区、放影研)が実施を計画している原爆被爆者を含む両親とその子ども(被爆二世)を対象にしたゲノム(全遺伝情報)の解析調査に関する研究協力協定を結びました。大学病院は調査参加者のうち必要な方に対して、適切な遺伝カウンセリングと医療の提供を支援します。
ゲノム解析調査は、原爆放射線による遺伝的影響が被爆者の子どもに引き継がれるかどうかを明らかにするため実施するものです。放影研は、調査の過程で健康管理に役立つ遺伝情報が判明した場合、本人の希望によりその遺伝情報をご本人に説明し、広島大学病院への受診を勧めます。広島大学病院は、遺伝カウンセリングや希望に応じて定期検診や血縁者診断などを行い、必要があれば医療支援します。
締結式では、広島大学病院の安達伸生病院長と、放影研の神谷研二理事長が協定書に署名しました。神谷理事長は「被爆者や被爆二世の方への大きな安心材料となり、力強い支援につながる」と期待を表明しました。安達病院長は「被爆とは無関係だが健康上、有用な情報が見つかったケースも含め、遺伝カウンセリングから治療につながることがあれば病院としてしっかり対応させていただく」と述べました。
放影研は原爆の放射線による健康への影響について研究する日米両政府の共同運営機関です。現在、2027年1月竣工を目指して広島研究所の新施設を広島大学病院がある広島大学霞キャンパスに建設中です。今後、幅広い分野で広島大学との連携が強まることで、被爆者の子孫に対する医療支援、心理社会的支援をより充実させることが期待されます。
越智光夫学長は「将来的には放影研と連携した研究によって、被爆者やそのご家族の方々への医療につなげていきたい」と話しています。

協定書に署名し、握手する安達病院長(左)と神谷理事長

協定締結後の記者説明会