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広島県初の先進的内視鏡治療を導入 良性・悪性食道疾患へ3つの新たなアプローチ

 広島大学病院は、良性・悪性食道疾患に対する新たな3つの治療法を導入し、5月13日に記者説明会を開きました。患者さんの負担が少なくいずれも保険が適用されます。4月に施術した3症例は経過も順調です。

 2つは良性疾患に対する治療で、食べ物の胃の入り口の通過が難しい患者さんへの「内視鏡下筋層切開術(POEM)と、内服薬では胸やけなどの症状が改善しない患者さんへの「内視鏡的逆流防止粘膜切除術」です。もう1つは悪性腫瘍に対し、食道がんの放射線治療後に残存または再発した病変に対する治療として、「光線力学療法(Photodynamic Therapy, PDT)」をそれぞれ広島県内で初めて導入しました。

 POEMは、食物をのどから胃に運ぶ際の正常な食道の蠕動がなくなり、食道の出口(胃の入口)にある筋肉が締まったままゆるまないために食物の通過が障害される疾患「食道アカラシア」に対して施術します。内視鏡を用いて異常な筋肉を切開することで、食物の通過を改善します。

 内視鏡的逆流防止粘膜切除術は、内服薬でも胸やけなどの症状が改善しない胃食道逆流症(逆流性食道炎を含む)の患者さんや、一旦改善してもやめると再発し、長期の内服が必要な患者さんが対象となります。内視鏡を用いて胃の入り口の粘膜を切除し、人工的に胃潰瘍を作成します。潰瘍の治癒過程で粘膜が引き寄せられることにより、胃の入り口が狭くなり、胃酸の逆流を抑制することが可能になります。

 これらの疾患の診断に不可欠な「高解像度内圧測定検査」と「24時間pHモニタリング検査」を実施するための機器を、広島県で初めて導入したことにより、より正確な診断と適切な治療が可能となりました。

 PDTは、光増感剤を投与した後に特定の波長の光を照射し、活性酸素を発生させてがん細胞を破壊する治療法です。放射線治療後の再発や外科手術が困難な患者さんに対して新たな治療の選択肢となり、先行例では治療の効果を示す奏効率が8割以上と高率です。

 消化器内科の岡志郎教授は「より安全で負担の少ない治療法です。いずれも1時間以内で治療は終わり、入院も1週間前後です。施術後は服薬もしなくてよく、経済的な負担も軽減できます」と話しています。

PDTの治療の様子

PDTの治療の様子

PDTに使用する治療装置

PDTに使用する治療装置

記者説明会で話す岡教授

記者説明会で話す岡教授


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