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広島大学病院に最新型「ダビンチ」 より安全、短時間に初の手術実施

 広島大学病院は、手術支援ロボット「ダビンチ」の最新型「ダビンチ5」を導入し、7月23日に初めての手術を実施しました。従来は視覚だけに頼っていましたが触覚が加わり、臓器などへの力のかけ方をきめ細かく制御できるため、より繊細で安全な手術が可能となりました。患者さんへの負担軽減が期待されます。

 全国6施設が同時に導入し、中四国地方では唯一です。ダビンチは4本のロボットアームの先端についたメスや鉗子(かんし)などを、おなかに開けた小さな穴から体内に入れて、患部を切除したり、縫合したりする医療機器です。医師がモニターをのぞき込み、コントローラーを操作して施術します。

 ダビンチ5は、組織を押し引きする際の力を感知できるのが従来はなかった機能で、データ処理能力やモニターの3D映像の解像度も向上。おなかを膨らませる気腹圧の調整など手元で制御できるメニューも増えています。

 初めての手術は、泌尿器科の日向信之教授のチームによる高齢男性の膀胱がんに対して行われました。膀胱を摘出し、ご本人の小腸からつくった代用膀胱をつなぎます。手術は順調に進み、これまでより1時間ほど早い5時間余りで終了しました。出血量は100mlほどで、患者さんへの負担の少ない手術となりました。

 手術を終え、記者説明会に臨んだ日向教授は、「縫合する糸の張りも感じられ、視覚だけに頼るより疲れもなく、安全にできた。トレーニングは必要だが、『神の手』と呼ばれる医師の手技が、多くの患者さんに対してできるようになる期待がある」と話しました。

 ダビンチ5の導入により、広島大学病院の手術支援ロボットはダビンチ5が1台、ダビンチXi2台、国産機ヒノトリ1台の4台体制となります。2010年3月に初代ダビンチを導入して以降、前立腺がん、腎臓がんをはじめ、頭頸部がん、肺がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、子宮筋腫など、2025年6月までに行った手術件数は3100件以上と、全国有数です。

 広島大学病院では、患者さんの負担がより小さく、安全な術式の開発に努め、若手外科医の育成にも尽力していきます。

広島大学病院で泌尿器科が実施した最新型の「ダビンチ5」を使った初めての手術。より安全に、手術時間も短縮しました。中央のロボットを左奥のコンソールで操作します。

ダビンチ5と初の手術について、記者説明会で話す日向教授


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