呼吸音の連続モニタリングシステムの開発へ

 平成29年11月6日(月)、「術中の迅速な呼吸異常評価のための連続呼吸音のモニタリングシステムの研究開発」に関する記者説明会を開催しました。

 この研究開発は、広島大学、東京電機大学、パイオニア株式会社、日本光電工業株式会社が提案し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成29年度「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業『術中の迅速な判断・決定を支援する診断支援機器・システム開発』」 に採択されました。

 医療機器が進歩した現在においても、呼吸音の聴診は肺疾患の診断において簡便かつ有用な情報です。しかし、その評価は聴診者の主観に委ねられており客観性が乏しく、呼吸音の正確な評価には十分なトレーニングを必要とします。このため、呼吸音評価の現状には極めて困難な課題が残されています。
 そこで今回採択された研究開発では、広島大学大学院救急集中治療医学の志馬伸朗教授らを中心に、これまで広島大学とパイオニア(株)が研究開発を進めてきた、電子聴診器を用いた呼吸音を可視化できる解析システムの技術を応用し、手術時に使用する新たなパラメータとしての呼吸音連続モニタリングシステムの開発に取り組みます。
 また、広島大学に設置されているスマート治療室に接続することで、他のインターフェースから取り込まれた情報と有機的に連携し、より安全に手術を行うことが可能となる環境の構築をめざします。
 将来的には手術室だけではなく、救急外来、集中治療室、救命センターなど、あらゆる重症患者における呼吸音の連続的なモニターが可能となるよう研究開発を進めます。

 記者説明会では、高度救命救急センターの大下准教授が「今回の研究開発を通して、より安心で安全な医療を提供していきたい」と話していました。

事業における参加機関の役割

<広島大学>
・全体統括、臨床データの採取・評価など
<東京電機大学>
・呼吸音データの圧縮保存技術の開発など
<パイオニア株式会社>
・呼吸音連続モニタリングシステムの開発など
<日本光電工業株式会社>
・事業化・薬機法認証取得に向けた取り組みなど

記者説明会

記者説明会

大下准教授、志馬教授、日本光電工業(株)高柳氏、パイオニア(株)清水氏(左から)

大下准教授、志馬教授、日本光電工業(株)高柳氏、パイオニア(株)清水氏(左から)


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