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研究者への軌跡

今この道を歩いている理由

氏名:澁谷 一博     

専攻:数学専攻

職名:助教

専門分野:微分幾何学

略歴:
1980年北海道生まれ。
愛媛大学理学部数理科学科卒業。
北海道大学大学院理学研究科博士課程修了。
北海道大学大学院理学研究院専門研究員、学術研究員を経て
2009年9月より広島大学大学院理学研究科助教、現在に至る。

 

現在は数学の微分幾何学、その中でも微分式系と呼ばれる分野に関わる研究をしています。
Cartan、Lie、Goursat、Darboux、Mongeらの偉大な先人達に端を発する非常に面白い研究分野です。しかし自分が今その分野の研究をしているのは今でも不思議に思えてしかたありません。“その時にやるべきことを全力でやっていたらここに居る”というのが実感です。
 

少年時代を振り返ると、数学が飛びぬけて出来たというわけではなく、また運命的な先生との出会いがあり数学者を目指すようになったというエピソードがあるわけでもなく、数学者になる理由は全然見つかりません。小、中、高と学校に行って授業を受けて帰ってきて遊んで寝るということを繰り返していて、“いわゆる”的なエピソードは何もないです。
 

大学は愛媛大学でしたがそこを選んだのも北海道を出たいからという理由でなんとなくでした。この時点では数学を選んでいたわけではなく自分が入った数理科学科というのは当時流行っていたIT関連も視野に入れた学科でした。ただ一年生の時に教わった微分積分、線形代数が非常に論理的で明解であり数学が面白いと感じるようになりました。
 

修士からは愛媛時代の指導教官からの紹介で北海道大学に行きました。しかし修士に入った時点では博士課程に行くかどうかも決めていませんでした。結局サラリーマンは性に合わないという理由で研究者の道へ行くことを決めました。
ただ北大での指導教官の山口佳三先生との出会いが研究者への道へ行こうと決めた最大の要因であることは確かです。これも象徴的なエピソードがあるわけではなく日々のセミナーで指導を受けてるうちに自然とその気持ちが強くなっていったというのが実際のところです。
 

自分の学生時代を振り返って見ましたが正直このような場で紹介できる面白いエピソードがあるわけでもなく、夢があったわけでもありません。むしろ何に興味があるのかという質問がプレッシャーでした。
夢に向かって頑張る人をうらやましく思いますが、自分はやりたいことがなかったので“やらないといけないことを全力でやる”という学生時代を送ってきました。今ではそれで良かったと思いますし、“楽しいことを頑張るのではなく、頑張っていたら楽しくなってくる”と思うようになりました。現在は楽しく数学させてもらっています。
またその中でいろいろな人達との出会いがあり、励ましてもらったり、助けてもらったりとたくさんの経験をさせてもらい感謝しています。
 

このような意見は一般社会でも研究者の間でも肯定的に捉えられることは少ないと思いますが、一つの意見として参考になれば幸いです。


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