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研究者への軌跡

やりたくないことをやらないでいると

氏名:松本 眞

専攻:数学専攻

職階:教授

専門分野:緻密ででたらめな研究

略歴:日本で最初に光化学スモッグで人が倒れた東京都杉並区に生まれる。病弱で100m走ることができず、軟弱に暮らす。不確かなことから離れたく、東京大学理科一類に入る。数学では同期の友人らに太刀打ちできないので情報科学科に進む。情報科学専攻修士修了時、博士進学を拒まれたので数学専攻博士課程に鞍替えする。以後、いろいろな
ことから逃げて、逃げ切れずに現在に至る。

 

やるべきことをやらないで、やりたいことをやるようにこころがけていて、現在に至りました。小学生のころ、国語の問題の「正解」の「正しさ」や、作文を「点数にできること」に強い不満を持ちました。作文やら説得やらdebateやらをしなくても、証明ができればよいという数学を頼って暮らしてきました。道元の説く「万法に証せらるる」安心の道でしたが、ここに来て「説明責任」やら「大学の使命」やら「社会への還元」やらで、作文と説得とdebateばかりするようになり、やりたくないことをたくさんやることになりました。それでも、やりたいことをやるようにこころがけています。(「研究者への軌跡」というタイトルは、研究者が到達点みたいで気持ち良くありませんね。)
 

人の期待に応えたり、人の薦めに従ったりせず、さらには自分の大所高所からの判断にも頼ることなく、ただ今「面白い、なぜだかわからないが人生を払うに値する」と思うことをやり続けることだけが、人生を払うに値することに近づく道すべなのではないかと思います。
 

ついうっかり、やりたいことではなく「やるべき(と思う)こと」をやってしまうのですが、それは慎みたいと思います。


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