第3回生物圏科学研究科 食料・環境問題国際シンポジウム

平成22年12月20日、生物圏科学研究科において「第3回広島大学食料・環境問題国際シンポジウム」を開催しました。

13時から開催された第1部では、「東アジアの食料と環境に関する現況分析と将来展望」という課題で、これに関する講演と討論を行いました。

シンポジウムの様子

左:江坂宗春研究科長のあいさつ     
右:吉村幸則副研究科長の司会

 

台湾東海大学のチェン・チュリアング博士は、「台湾在来鶏の卵生産の向上」という題目の講演を行い、台湾の地域で保存されている鶏群の卵生産機能の向上への期待と現在の取り組みが紹介されました。

韓国釜慶大学のリー・サングゴ博士は、「韓国の水産とその気象変動への適応」という講演を行い、韓国水産業の現状の紹介、沿岸部の環境保全の重要性、最近の気象変動への対応の重要性が述べられました。

広島大学のリアオ・ ローレンス博士は、「アジア海岸域における食糧生産に関わる環境保全のためのコミュニケーション」という講演を行い、フィリピンや周辺地域での海洋環境の現状が紹介され、この保全が
海洋生物・食料の持続的生産のために各地域の相互理解と協力も必要であることが述べられました。

全体のまとめでは、東アジアにおける食料の安定的な供給と安全性の確保、これの持続を可能とする環境保全の重要性について確認されました。今回の相互理解の意義は大きく参加大学の教育研究に活かすことも重要なことから、各講師から参加学生へ持続的食料生産のための環境保全の意識を持つようにとのメッセージが送られました。

シンポジウムの様子

左:台湾東海大学のチェン・チュリアング博士     
右:韓国釜慶大学のリー・サングゴ博士

シンポジウムの様子

左:広島大学のリアオ・ ローレンス博士     
右:懇親会での集合写真

 

引き続き行われた第2部では、生物圏科学研究科の最近の研究が紹介されました。
 
黒川勇三准教授は、「イタリアンライグラスとトウモロコシサイレージの併給が乳牛の摂取行動と乳生産に及ぼす影響」という題目で講演し、家畜生産のための新たな飼料給与法の可能性を示しました。

豊後貴嗣教授の演題は「日本鶏の特性評価~耐暑性・抗ストレス性~」で、肉用日本鶏のシャモは耐暑性に優れていることを述べました。

井関和夫教授は、「周防灘のアサリ初期生態に関する連携研究:基礎生産と幼生の餌」という演題で講演し、この地域のアサリの収量は減少しているが、成貝の餌の減少は検出されなかったので、アサリ幼生期の餌についてさらに検討する必要があることを示しました。

水田啓子教授は、「酵母における染色体ダイナミクス」について講演し、酵母のリボソーム蛋白質の核内挙動と役割を解析した結果を示して、これが核の形態やテロメア恒常性維持等の細胞機能調節機能を持っているという新知見を得られる可能性を述べました。

今回のシンポジウムには、教職員、学生を含めて約70名の参加者があり、第1部と第2部ともに活発な質疑応答が交わされました。


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