大学院生物圏科学研究科 吉村 幸則
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第4回生物圏科学研究科 食料・環境問題国際シンポジウム「農業・水産現場の自然災害からの復興」を、平成23年11月5日(土)の広島大学ホームカミングデーに行いました。
近年、アジア地域では、インドネシアの火山噴火、タイでのインド洋地震と津波、中国の四川大地震、および日本での東日本大震災といった自然災害により、農業、水産の現場が甚大な被害を受けています。
このシンポジウムは被災状況を理解し、被災から復興するために大学や試験研究機関が何をできるかについて意見交換することを目的としました。シンポジウムは国内外から5名の講師をお招きして行い、学内外から名誉教授、同窓生、在学生、教職員など約120名が参加しました。
左:研究科長の挨拶
右:シンポジウム会場の様子
第1部では、Methee Kaewnern先生(カセサート大学、タイ)による「タイの水産と増養殖が受けた2004年インド洋津波の影響と復興」、Achmad Zamroni 氏(広島大学)による「2004 年津波後のより良い水産業を構築するための復興: インドネシアのナングロエ ・ アチェ ・ ダルサラームの漁村生活からの教訓」、佐々木洋先生(石巻専修大学)による「宮城県における2011年東日本大震災後の復興計画:大型藻類養殖の再生と微細藻類生産の新規開発」という、主に津波による水産と海洋環境への影響についてのご講演を賜りました。
左:タイ・カセサート大学のMethee Kaewnern先生
右:総合司会の吉村幸則実行委員長
左:広島大学のAchmad Zamroni 氏
右:Zamroni 氏講演の司会・通訳の島本整教授
左:石巻専修大学の佐々木洋先生
右:佐々木先生講演の司会・通訳の長澤和也教授
第2部では、Yuansheng Jiang先生(四川農業大学、中国)による 「四川省文川(Wenchuan)地震被災地域における国際農業支援: 農業インプットの回答か?」、Didik Indradewa先生(ガジャマダ大学、インドネシア)による「インドネシア自然災害後の農業復興の取り組みと学んだ教訓」という、地震や火山噴火による農業への災害と復旧を中心としたご講演をいただきました。
左:中国・四川農業大学のYuansheng Jiang先生
右:Jiang先生講演の司会・通訳の前田照夫教授
左:インドネシア・ガジャマダ大学のDidik Indradewa先生
右:Indradewa先生講演の司会・通訳の正岡淑邦教授
いずれの講演でも、災害現場の状況が紹介され、自然の力の大きさをあらためて知ることができました。津波による被害では多くの尊い人命を失ったことのほかに、漁船、漁業施設と設備、沿岸域の自然、そして漁村コミュニティの甚大な被害が述べられました。陸域の地震や火山噴火では、土壌と作物への被害の分析などが示されました。
質疑応答の様子
左:活発な意見交換が行われました
右:司会のLawrence Liao准教授
全体の講演を通して、復興と発展のために農業・漁業の技術の発展、生産現場の自然環境の保全、地域コミュニティの形成、そしてこれらの産業、技術、社会を支える人材の育成が大切であるという共通的な示唆がありました。
農業水産は常に自然と共生しており、自然災害と向き合っています。
参加者は今回のシンポジウムでの活発な意見交換を通して、農業・水産の自然災害に対して、私達に何ができるかということを考える素晴らしい機会になりました。
左:同時開催された2010年度研究科長裁量経費助成研究成果のポスター発表
右:研究科玄関前で記念撮影
同日夜に行われた夕食会の様子