歯科金属アレルギー(歯科)

歯科金属アレルギー

歯科金属アレルギーとは

歯科材料に含まれる金属元素の関与が疑われる金属アレルギーです。

口から離れた部位に症状がでることがある

歯科金属アレルギーの主な臨床症状は「金属との接触部位に起こる口腔の粘膜炎や扁平苔癬(図1)」あるいは「口腔から離れた遠隔部位の湿疹反応や掌蹠膿疱症(図2)」などがあります。

図1:扁平苔癬(広島大学医系科学研究科口腔生物工学講座提供)

図2:掌蹠膿疱症(広島大学医系科学研究科口腔生物工学講座提供)

歯科金属アレルギーの検査・診断

  • 問診
    これまでアレルギー症状発症の既往歴があるかどうか、また金属製品でかぶれたことがあるかなどを聞き取ります。
  • パッチテスト(図3)
    皮膚上にアレルギー症状を引き起こしていると疑われる金属試薬を直接貼り付け、皮膚の反応から診断する方法です。 パッチテストは一般歯科での対応が難しいことが多いので、同テストを実施している皮膚科などの医療機関において行うことが一般的です。

図3:パッチテスト(広島大学医系科学研究科口腔生物工学講座提供)

  • 金属同定検査
    パッチテストで陽性反応があった金属元素を含む材料がお口のなかにあるかどうかを調べます。保険診療・保険外診療含め一般的に使われている歯科用金属の成分は概ね明らかとなっているので、お口の一般的検査やレントゲン撮影などで調べることができます。

    使用されている金属の種類が不明な場合は、お口の中の金属の表面を軽く削ってサンプルとしてその成分を調べる方法もありますが、一般の歯科や医療機関での対応は難しいことが多く、歯科金属アレルギー専門外来などで行われます。

歯科金属アレルギーの治療

基本は、アレルギー陽性金属を含んだ被せ物などを除去して、含まない材料(レジン、セラミックなど)に置き換えます。
アレルギー陽性金属には、歯科用金属の中だけでなく、日常生活で接触するものや食品などに含まれている場合もあるので、除去してすぐに症状が改善しないことも多く、一定期間仮歯などで経過観察を行いながら症状を確認します。
また、金属の被せ物を除去するときに、削りカスに触れることで一過性に症状が増悪することがあることに注意が必要です。


up