食物アレルギー(小児科)

食物アレルギー

食物アレルギーとは

特定の食物に対して免疫機能が過剰に反応してしまい、からだに不利益な症状をおこす現象です。

様々な食物が原因になる

表1に、年齢別に見た食物アレルギーの原因食物を示します。0歳児群で鶏卵、牛乳、小麦が多く、それ以降は各年齢群で特徴があります。鶏卵、牛乳、小麦は、年齢とともに自然に食べられるようになることが多い食品です。有病率は、1歳の7.1%をピークに年々減少します。一方で、小学生以降に症状が残るお子様は、重症なことも多く注意が必要です。

 

新規発症の原因食物

 

 

食物アレルギーの症状

代表的な症状は以下の通りです。

  • 皮膚症状:蕁麻疹、発赤、かゆみなど
  • 粘膜症状:目の充血や腫れ、口腔の違和感など
  • 呼吸器症状:咳、喘鳴など
  • 消化器症状:嘔吐、腹痛など
  • 神経症状:活気の低下、意識障害など
  • 循環器症状:血圧低下、頻脈など

頻度が高いのは皮膚症状です。短時間で全身性にアレルギー症状が起こる状態をアナフィラキシーと呼びます。特に重篤な血圧低下や呼吸障害など、生命にかかわる危険な状態になることをアナフィラキシーショックといいます。

食物アレルギーの検査・診断

  • 問診

(1)いつ何を (2)どれくらい食べて (3)どれぐらいの時間の後に (4)どんな症状が起きて (5)それがどれぐらい続いたか を聞くことで、食物アレルギーの状況を確認します。

  • 血液検査

個別の食物の「IgE抗体」測定するのが一般的です。しかしこの検査で反応が陽性と出た食物でも、食べてアレルギー症状がでなければ食物アレルギーではなく、除去する必要もありません。

  • 食物経口負荷試験

食物経口負荷試験は問診や血液検査などで疑われた食品を、単回または複数回に分けて実際に病院で食べてみる試験です。(1)食べることができるか(原因食物の同定)(2)どのくらいの量なら食べられるのか(安全摂取可能量の決定)(3)食べられるようになったか(耐性獲得の確認)を実際に食べて判定する最も確実で信頼できる検査です。

食物アレルギーの診療方針

症状(問診)、各種検査、及び食物経口負荷試験を総合的に判断します。その上で必要最小限の食物除去を行うのが基本です。

経口免疫療法

原因食物を安全な量から継続して食べることで、徐々に体を慣らして症状を起こさないようにしていく治療法です。食物アレルギーに精通したアレルギー専門医・アレルギー専門施設により行われる研究段階の治療法で、小児アレルギー学会も積極的な推奨はしていません。本治療を希望される場合、そのメリットとリスクを十分にご説明し、安全に実施できるよう配慮して施行しています。

食物アレルギーの発症リスクは?

家族歴、遺伝的素因、環境要因などが食物アレルギーのリスクになりますが、患者さんやご家族さんが予防できるリスクに『皮膚のバリア機能の低下』があります。スキンケアを行い、皮膚のバリア機能を保つようにしましょう。

 


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