広島大学病院は今年度、初めて救急救命士5人を採用しました。高度救命救急センターを拠点に、救急診療チームの一員として、重いけがや病気になった救急患者さんの初期対応のほか、消防との情報共有、医師や看護師のサポート、他の病院との連携にも取り組みます。
別の病院から移籍した救急救命士が2人、新採用が3人です。救急患者さんに対して、医師の指示により、機材を使った処置や薬剤投与などの救命措置を行います。まずは365日対応とし、2交代で24時間対応とすることも視野に入れています。
広島大学病院は、生命に関わる重症患者を24時間受け入れる3次救急を中心に、入院が必要な患者さんに対応する2次救急患者を日々受け入れています。救急患者の救命率向上と後遺症の軽減には迅速な対応が不可欠です。救急救命士は、消防署の救急隊などから救急患者さんの一報が届いたら、脈拍、血圧、呼吸、意識レベルなど患者さんの状態を聞き取り、病院到着後にいち早く診療を始められるよう、医師や看護師に連絡します。病床の空き具合や、専門医の待機状況も把握し、医師や看護師が、それぞれの職務に集中できるようにします。
入院が必要な救急患者さんがおられるのに、病床が足りないケースでは、受け入れが可能な近隣の協力病院との調整役も担います。広島大学病院で初期対応し、協力病院で入院するケースもこれから増えていくとみられますが、病院間の連携により、地域医療を守る調整も大きな役割になります。
広島大学病院には、地震や豪雨被害などが発生した現場に駆けつける災害医療派遣チーム(DMAT)隊員の医師や看護師、医療関係職員がいます。救急救命士はDMATカーを運転して現地に向かうほか、資器材の調整や現地の医療機関の対応状況などの情報収集にも当たる予定です。避難所の開設や災害医療など専門知識を生かした支援、防災講習の講師などでも力を発揮しそうです。

搬送された患者に心電計や血圧計を装着

DMATカー前に並ぶ救急救命士の5人

医師、看護師をはじめ多職種のスタッフと患者の状態について情報共有